生徒指導の観察と気づき 見えにくい課題に気づく観察ポイント

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学文社
教育新聞ブランドスタジオ
周防美智子 著 2200円

 いじめや不登校といった子どもたちの多岐にわたる問題は、改善するどころか悪化、複雑化している。「それらの問題が生じる背景には抑うつなどの心理的要因が存在する」と考える筆者が、メンタルヘルスという視点から適切な生徒指導の在り方を提案していく。

 前半では、子どもがメンタルヘルスに不調を来たしているかどうかを見極めるための、アセスメントのやり方を論じる。不登校を例に遅刻や未提出物などのリスク要因を早期発見することで、リスクの軽減につなげられると説明。

 事例を取り上げたり、注視すべき子どもの観察ポイントの一覧を引用したりなど、子どもの異変を見つけるための方法論を多角的にまとめる。子どもが抱えるトラブルの種をいち早く見抜くためのヒントが並ぶ。

 後半からは、子どものメンタルヘルスを守るための環境整備について深掘り。教室内のロッカーや教師の机の上の整理整頓の徹底に加え、廊下の掲示物を必要以上に提示させないなど、教室内外を子どもが落ち着ける空間にすることの重要性を説く。また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、さらには保護者と連携して、子どもをケアする体制づくりも提案する。

 小さな変化、もといSOSに大人がキャッチできるかどうかで、子どもの将来は大きく左右される。子どものメンタルヘルスの機微をすくい取れるための知識を本書から吸収しておきたい。