ほんやくすると

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ブロンズ新社
教育新聞ブランドスタジオ
斉藤倫、うきまる 文 くのまり 絵 1760円

 生まれたばかりの男の子の成長を見守る飼い犬が語り手となり、ストーリーが進行する絵本。

 「かち かち ひびく とけいの おと」「ほんやくすると 『いま おんなじ ときを すごしてる』」というように、男の子の周辺で起きている何げない出来事を「翻訳」しながら物語が展開されていく。

 こういった形式で進んでいくからこそ、ラストページでは不意に心が温かくなる。漢字だけではなく、片仮名さえ使われておらず、対象年齢は決して高くない。それでも、年齢に関係なく、誰でも胸がぽかぽかしていく感覚を堪能できる。

 ページ一面に森や海が描かれたイラストも圧巻。鮮やかな色使いで表現されており、私たちが暮らす世界がいかに彩り豊かなのかを再確認できる。物語としてだけでなく、イラスト集としても楽しめる絵本だ。