クラウド型連絡サービス導入で働き方改革を加速 保護者との連絡に最適な「職員室コネクトサービス」

【協賛企画】
富士電機ITソリューション株式会社
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 教員の業務負担を減らす取り組みの一つに、学校・保護者間の連絡効率化が挙げられる。富士電機ITソリューションが提供する「職員室コネクトサービス」は学校と保護者をクラウドでつなぐ連携システムだ。栃木県小山市立大谷東小学校では2022年10月より市内の実証校として同システムを導入。全児童の出席状況をいち早く把握できるようになった。保護者や教職員同士の情報伝達もデジタル化で効率化が進み、子どもに向き合う時間が増えたという。佐山幸代教頭(※)等に運用開始までの準備や定着に向けた校内研修の工夫を聞いた。

大谷東小学校 佐山幸代教頭 (※2023年度に異動。肩書は22年度のもの)
大谷東小学校 佐山幸代教頭 (※2023年度に異動。肩書は22年度のもの)

 「自ら学び、深く考える子ども」「支え合い、共に生きる子ども」「心も体もたくましい子ども」を目指す児童像に掲げ、教育活動を展開する小山市立大谷東小学校。児童数は約840名と栃木県下でも有数の大規模校だ。

電話、紙、デジタル混在で校務が非効率に

 職員室コネクトサービス導入前まで、同校の児童の出欠連絡は紙や電話が中心だった。新型コロナ感染症の流行前までは、休む児童の「欠席カード」を登校班の児童が預かり担任に渡していた。その後、コロナ禍に入ると接触を避けるため今度は電話が主になった。「朝は留守番電話が解除になった直後から、次々とかかってくる状況だった」と、佐山教頭はこの2年間を振り返る。

 検温・健康観察では、紙とデジタルが混在する状況もあった。児童の検温は、平日は紙の検温表に体温や保護者のコメントを記入してもらい、担任が確認して児童に毎日返却。一方、週末に児童の体調不良が分かった場合は、土日限定のグーグルフォームで保護者からの情報や連絡を集計していた。情報の入口が多様化すれば、それだけ情報共有に時間はかかる。何度も同じ報告をし合ったり情報を入力し直したりと、かえって手間がかかる状態になっていた。

 そうした課題を解決したのが、富士電機ITソリューションが提供するクラウド型連絡ツール「職員室コネクトサービス」だ。登校前の学校への連絡や体温などを保護者のスマートフォンから入力すれば、学校側で欠席情報や健康状態が一覧で確認できる。小山市では同校を含む小学校2校、中学校2校で2022年夏より「職員室コネクトサービス」を用いた校務効率化の実証事業を始めた。

誰もが操作できるようきめ細かな研修を実施

 導入の手順はこうだ。10月の運用開始に向け、8月初旬から児童や教職員情報の入力やID作成の作業が始まった。中旬には全教職員を対象とした研修を行い、全員が操作方法をマスターしていった。ポイントは「自分はこれには関係ない、という人を作らないこと」と佐山教頭は言う。学級担任はもとより、担任が休んだり出張に出たときに代わりに教室に入る教員や管理職が出欠確認をする必要があるからだ。なにより校内の運用ルールを作るためにも、まず全員が使い方を分かっている必要があったという。

 9月には保護者に具体的な操作方法を告知。初回登録用紙とマニュアルを配付して入力方法を周知し、ヘルプデスクの案内も行った。スマホでの操作が不安な保護者には学校に来てもらい一緒に操作するなど、誰ひとり取り残さないよう配慮をしたという。

 教職員が職員室コネクトサービスの操作を習熟する間に出た疑問点は、教育委員会と富士電機ITソリューションの導入担当者、導入校の推進担当者で構成するMicrosoft Teams内の“職員室コネクトサービス導入チーム”で共有。効率よく解決していった。こうしたやりとりの中で、校内での運用イメージも固まっていった。

2学期から開始1カ月で確実に定着

 そして迎えた10月の運用開始直後は、朝9時までに全児童の出席状況を把握することを目指した。そのためには32人いる担任全員が出欠の「確定ボタン」を朝9時までに押し終わっている必要がある。それを徹底するための工夫が毎日の校内アナウンスだ。「先生方、出席確認をしたら確定をしてください」と教頭が一言入れるだけで、忙しい朝の時間でも後回しにせず出席状況が一気に把握できるようになった。

 担任の教師たちも最初は同校オリジナルのA4判の「操作マニュアル」を見ながら操作していたが、1カ月もたたないうちに慣れアナウンスは不要となっていった。

保護者のコメントで児童を一人ひとりに丁寧に対応

 サービス導入から約半年。出席状況の把握は各段に効率化した。さらに、使ってよかったとどの教師も感じているのが、保護者がコメントを入力できる「備考欄」だ。欠席の理由を記入する以外にも、学校に送り出したけれども気になって学校に伝えておきたい連絡や、子どもの様子が書かれていることがあるという。そうした情報は児童が学校に到着する前に把握できるので、一人一人に合った声掛けや対応、教員間の連携がスムーズにとれるようになった。

 学校から保護者へのお便りや連絡事項を一斉送信できる「お知らせ管理」機能も運用している。毎月の保健だよりと給食だよりを電子化し配信中だ。だが、全てを電子配信すればいいというものではない。給食の献立表など「紙のほうが貼っておけるので便利」などの要望が多いものは、従来通り印刷して配付している。

 ノート型の連絡帳も継続している。担任が子ども達に伝える「明日の持ち物」などの連絡は児童が学校で書いて、自宅に持って帰る。また「備考欄」では書ききれない伝達事項は、担任が連絡帳に書き込むなどしっかりしたコミュニケーションをとるためには不可欠だという。「児童や保護者、教職員の声を聞きながらデジタル化を進めていきたい」と、佐山教頭は話す。

 出欠・検温管理業務を紙のカードや連絡帳から切り分け、効率化を図る、そこで生み出された余裕の時間を、児童や保護者とのよりきめ細かなコミュニケーションに充てる。これこそ働き方改革に叶うICT活用と言えるだろう。今後はスクールガードリーダーやボランティアなど、外部との連絡方法も職員室コネクトサービスを用いて一本化する予定だ。

教職員全員で子ども達を見守れるツール
小山市教育委員会 小島寛義指導主事
小山市教育委員会 小島寛義指導主事

 小山市内で職員室コネクトサービスの実証検証を行っている4校に共通しているのは、ひっきりなしに鳴っていた朝の電話が減ったことだ。導入後、実際に学校に赴いてそれを実感した同教育委員会の小島寛義指導主事はこう話す。「学級担任ひとりが情報を抱えることなく、全校で共有できる点にクラウド型連絡サービス導入のメリットがあると考えている。業務効率化だけでなく情報共有で全員の目で子ども達を見守れるツールだと期待している」。

 大谷東小のように、どの場面で何が必要かを考えてデジタルツールを使い分ける意識が高まると、さらなるICT活用の広がりが期待できる。同校では職員室コネクトサービスの導入を機に、クラウド上で情報共有することの利点を誰もが実感しはじめている。最近では授業研究会の会議をTeams上で行うなど授業や他の校務にもクラウドを積極的に活用するようになった。

小山市教育委員会 伊藤秀哲・副主幹兼教育研究係長(23年度より教育研究所 所長)
小山市教育委員会 伊藤秀哲・副主幹兼教育研究係長(23年度より教育研究所 所長)

 伊藤秀哲・副主幹兼教育研究係長は「校務のICT化には管理職がリーダーシップを発揮し全教員がICTを使いやすくなるよう環境を整えるのが大切。今回の実証で得られたICTの利点を活かし、子ども達に向き合う時間の確保につなげていきたい」と語る。

 クラウド型校務支援ツール導入を契機に、デジタルで情報共有することのメリットに気づいた同校。これからの働き方改革や保護者との連携、校務DX化はますます進んでいきそうだ。

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