教育現場で広くDXの推進が加速する中、クラウドサービスを活用する動きが広がっている。大学においても、教育や事務領域ではクラウド化が進んでいる一方で、遅れをとっているのが研究領域での活用だ。日本の研究力を底上げしようと、国が研究領域のクラウド化を後押しする動きも出てきた。なぜ今研究データのクラウド化が必要なのか、クラウド化にどのようなメリットがあるのか。
世界の政府機関などで利用されるほどの信頼性と高いセキュリティを誇るクラウドサービスを展開するアマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 パブリックセクター教育事業本部の岡谷重雄本部長に話を聞いた。
世界190国で展開されるアマゾン ウェブ サービス(AWS)は、全世界で数百万、日本では数十万もの顧客が利用する最大のクラウドサービスだ。
日本国内では、文部科学省CBTシステム(MEXCBT:メクビット)、デジタル庁のガバメントクラウドで採用されているほか、幼稚園から大学、高専や研究開発法人などでも広く活用が進む。
一方で、岡谷本部長は、大学の研究分野でのクラウド化が遅れていることを指摘し「日本の研究力を高めるには、研究データのクラウド化は欠かせない」と強調する。
大学の研究では、自然科学系だけでなく、社会科学系、人文科学系においても大量のデータ分析、解析が必要となる。特に、生物、ゲノム分野などの先端分野の研究では、データ分析、解析をする際に膨大な量のデータを機械学習する。
「研究者が自前でコンピューターを購入しビッグデータの解析を行おうとすると、さまざまな課題が出てくる。そこで私たちは『計算資源の民主化』を掲げて、大規模計算に必要なリソースをすべてクラウド上で行うことができるサービスを提供している。高いセキュリティを確保しつつ、大量の研究データの分析、解析を好きなときに好きなだけ、それもより早く、よりコストを抑えてできるように支援していくのがAWSの役割」と話す。
大学では、教育、研究、事務の3本柱でクラウド化が進められているが、岡谷本部長によると「国立情報学研究所(NII)調査結果からも、研究系のクラウド化が進んでいないことが明らかになっており、研究基盤でのクラウド運用はわずか 18% しか進んでいない。(※)」という。(※出典: 文部科学省 「学術情報基盤実態調査」)
今年に入って、そんな研究領域のクラウド化を後押しする動きが出てきた。研究者が多様で独創的な研究に継続的、発展的に取り組む上で最も重要な研究資金制度である「競争的研究費制度」の共通指針の改正が行われ、競争的研究費の直接経費からクラウド利用料の支出が可能であることが明確化されることとなった。
「これまでも研究データのクラウド化に『競争的研究費制度』を活用することができたが、残念ながら多くの大学では活用できると認識されていなかった。これが、研究分野のクラウド化が進まなかった大きな要因でもある。今回新たに統一ルールとして明記されたことは、大きなパラダイムシフトだと考えている。しかし、現時点ではまだまだこの情報が広がっているとはいえない状況。全国の研究者の皆さんに知ってほしい」。
AWSのクラウドサービスを活用することによって、研究者にどのようなメリットがあるのか。
岡谷本部長は、「最も大きなメリットは、『計算資源の民主化』にある」と話す。クラウドサービスを使うことで自前のコンピューターやサーバーを持っていない人が、好きなときに好きなだけ計算資源を使えるようになる。
2つ目は、「研究者が、自己管理する計算資源から解放されること」。
自前でコンピューターを管理していると、停電等への対応やセキュリティ対策の徹底が必要となるなど想像以上に管理に手間が掛かる。AWSを活用すれば、データは全てクラウド上にあるため管理が不要、セキュリティ面も安心できる。
3つ目は、「費用面でのメリットだ。電気代やメンテナンス代が不要となり、結果的によりコストを抑えて利用できること」だ。
「プログラミングの知識が一切なくても誰でも、さまざまな研究データの解析ができるサービスも用意されている。クラウド活用のメリットは、計算資源の民主化をはかれるだけでなく、研究者が本業の研究活動に専念できるようになることが最も大きい」と指摘する。
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社は、8月24日東京会場、8月28日大阪会場にて開催される「教育と研究のDXフォーラム」に特別協賛する。
本フォーラムは、クラウド技術を活用した研究 DX を推進している先生や研究者の方々をお招きし、研究領域におけるDX推進の最前線と効果的な導入方法を探ろうというものだ。(大学研究トラックと小中高トラックの2本同時開催)
岡谷本部長は「研究分野に限らず、社会全体が今、データドリブンな社会となってきているし、世界は間違いなくその方向に進んでいる。日本が取り残されないためには、世界と同等レベルのデータの利活用が求められる」と強調したうえで、「そのために必要となるのが、『計算資源の民主化』だと考えている」と強調する。
「ポイントは、誰でも使える、いつでも好きなときに好きなだけ使えること。この全てを実現するAWSのクラウドサービスは、日本の社会に、教育現場に向けて支援を続けていくが、特にDXの推進が遅れている大学の研究分野の支援に注力し、日本の研究力のアップに貢献していきたい」と意気込む。
「教育と研究のDXフォーラム」では、大学や研究所における研究データのさまざまな活用事例が発表される。日本の研究が世界に取り残されることのないよう、多くの大学関係者、研究者の方々に参加していただきたい。
詳細、申し込みは下記より
https://www.kyobun.co.jp/event2023_edudx_summer/
東京会場 8月24日(木)
午前10時30分~午後5時
TKP新橋カンファレンスセンター
<大学・研究トラック>
■ご挨拶・登壇
10時30分~(オンライン登壇)
文部科学省 研究振興局 参事官(情報担当)嶋崎 政一
■基調講演
10時35分~11時15分
「バーチャル富岳が実現するサイエンスプラットフォームの広がり」
理化学研究所計算科学研究センター センター長 松岡 聡
■講演
11時20分~11時50分
「国際研究コラボレーションを指向したデータサイエンス教育の実現」
武蔵野大学 データサイエンス学部 学部長 教授 清木 康
■協賛社セッション
11時50分~12時20分
「オープンサイエンスを支えるクラウド認証基盤 Extic」
エクスジェン・ネットワークス株式会社
■講演
13時20分~13時50分
「クラウド活用で生物学の基礎研究を加速する」
自然科学研究機構基礎生物学研究所 進化ゲノミクス研究室 教授 重信 秀治
■協賛社セッション
13時50分~14時20分
「学術・研究機関におけるAWSクラウド活用事例~お支払い方法からGakuNin導入まで幅広くサポートします~」 株式会社Fusic
■協賛社セッション
14時20分~14時50分
「調達も運用も「安全」に ~大学・研究機関でのクラウド活用によるDXの
最初の一歩をお手伝いします~」MEGAZONE株式会社
■協賛社セッション
15時20分~15時50分
「教育DXを加速するID管理とアプリケーション管理のモダナイゼーション」 Okta Japan株式会社
■講演
15時50分~16時20分
「クラウドを活用した次世代型研究者データベースの開発と運用」
東北大学 工学研究科副研究科長・総長特別補佐 髙村 仁
■AWS講演
16時20分~16時50分
「生成系 AI の課題と解決策 - 学術・研究機関ユースケースからのAWSの考察」
アマゾン ウェブ サービス ジャパン 合同会社
パブリックセクター技術統括本部 統括本部長 / プリンシパルソリューションアーキテクト
瀧澤 与一
大阪会場 8月28日(月)
午前10時30分~午後5時
大阪公立大学 中百舌鳥キャンパス
<大学・研究トラック>
■ご挨拶・登壇
10時30分~(オンライン登壇)
文部科学省 研究振興局 参事官(情報担当)嶋崎 政一
■基調講演
10時35分~11時15分
「量子コンピューティングと量子ソフトウェアが実現する未来」
大阪大学 基礎工学研究科 教授 藤井 啓祐
■講演
11時15分~11時45分
「関西学院が進めるDX ?「デジタル『に』トランスフォーメーション」からの脱却?」
関西学院 情報化推進機構 システム管理・情報セキュリティ担当課長補佐 北島 大助
■協賛社セッション
13時30分~14時00分
「教育DXを加速するID管理とアプリケーション管理のモダナイゼーション」
Okta Japan株式会社
■講演
13時15分~13時45分
「東海国立大学機構デジタルユニバーシティ構想」
名古屋大学 情報連携推進本部 情報戦略室 教授 青木 学聡
■協賛社セッション
13時45分~14時15分
「オープンサイエンスを支えるクラウド認証基盤 Extic」
エクスジェン・ネットワークス株式会社
■講演
14時15分~14時30分
「OCAにおける「産学連携による高度IT人材育成」
OCA大阪デザイン&テクノロジー専門学校
■協賛社セッション
15時15分~15時45分
「調達も運用も「安全」に ~大学・研究機関でのクラウド活用によるDXの最初の
一歩をお手伝いします~」MEGAZONE株式会社
■協賛社セッション
15時45分~16時15分
「学術・研究機関におけるAWSクラウド活用事例~お支払い方法からGakuNin導入まで幅広く
サポートします~」株式会社Fusic
■AWS講演
16時15分~16時45分
「生成系AIの課題と解決策-学術・研究機関ユースケースからのAWSの考察」
アマゾン ウェブ サービス ジャパン 合同会社
パブリックセクター技術統括本部 統括本部長 / プリンシパルソリューションアーキテクト
瀧澤 与一
【主催・協賛】
主催: 株式会社教育新聞社 教育新聞ブランドスタジオ
特別協賛: アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
協賛:キヤノンITソリューションズ株式会社、エクスジェン・ネットワークス株式会社 、株式会社Fusic、コニカミノルタジャパン株式会社、ライフイズテック株式会社、MEGAZONE株式会社、Okta Japan株式会社
後援: 文部科学省、一般社団法人 ICT CONNECT 21、株式会社科学新聞社
【会場】
東京会場
TKP新橋カンファレンスセンター
〒100-0011東京都千代田区内幸町1-3-1幸ビルディング 16階
大阪会場
大阪公立大学 中百舌鳥キャンパス(B1棟)
〒599-8531 大阪府堺市中区学園町1番1号
【参加対象】
・小中高トラック:教育委員会の方々、教員の方々
・大学/研究トラック:大学関係者、研究室関係者
※お申し込み時に参加トラックをご選択ください。
【参加方法】
本サイトのお申し込みフォームから事前エントリーが必要です。参加費は無料です。