【工業】3Dレーザースキャナー測量を基にVR制作 文化財のデジタルアーカイブ化による地域貢献 兵庫県立東播工業高等学校

第34回全国産業教育フェア栃木大会【協賛企画】
協賛各社
教育新聞ブランドスタジオ
VR実演に向けた操作実習/同校画像提供

 本校では、建設産業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)に対応するため、3Dレーザースキャナーシステムを導入し、先端技術の習得を進めている。このシステムは測量技術と情報通信技術(ICT)を融合させ、全方位の距離と位置を3次元データとして捉え、色情報を含めて再現している。本校のビジョン「ものづくり ひとづくり まちづくり」に基づき、県指定文化財である本岡家住宅を3Dレーザー測量し、仮想現実(VR)化する課題研究を実施した。江戸時代の民家を計測し、約3億点の点群データを収集。その際、加古川市の学芸員や測量専門企業から指導を受けながら作業を進め、ゲームエンジンのUnityを活用してVR環境を構築した。

 文化祭やオープンハイスクールでは建設業界のICT化の現状を生徒と保護者に紹介。さらに加古川ツーデーマーチやひょうご工業教育フェアで視聴体験会を開催し、この文化財を広報。収集データを加古川市教育委員会に寄贈し、市役所で活動成果報告を行った。制作したVR動画は市文化財調査研究センターのホームページで公開されている。

 生徒たちは工業高校で学んだ技術の有効性と地域貢献の重要性を実感した。次年度は、兵庫県が全国で最も多くの古墳を有することに着目し、古墳群の3Dレーザー測量を行い、建物/建設情報のモデル化(BIM/CIM)技術の習得し、持続可能な地域貢献活動を目指す。