愛媛県南予北部に位置する大洲市は、肱川を中心に発展を遂げ、「伊予の小京都」と呼ばれる人口4万人弱の町である。
肱川が氾濫し甚大な被害を受けた2018年豪雨や地域経済が冷え込んだコロナ禍からの復興を経て、現在は、地元企業などが取り組む「持続可能なまちづくり」で注目され、観光客や移住者、インバウンドが増加している。
本校商業科では、地域に学び、地域に貢献できる人材の育成を目指し、教育実践に取り組んでいる。生徒が主体となって大洲市の魅力を発信し、地域活性化に寄与できる力を身に付けるべく挑戦しているさまざまな活動のうち、2つを紹介する。
1つ目は、地元のパン屋に協力を仰ぎ、大洲市の特産品の野菜や果物を使用したコラボパンの新商品開発である。「大洲市ええモンセレクション」に応募し、生徒が店長とともに認定審査会に参加することで、地域を知り、愛着を育む良い機会となった。
2つ目は、空き家活用を考える取り組みである。大洲市肱南地区では、人口減少による後継者不足が進んでいた。しかし、地域課題に向き合う若者の活動がきっかけとなり、分散型ホテル、カフェ、雑貨店などが開業し、現在は古さと新しさの融合が魅力的な観光スポットとなっている。11月に行われるイベントで生徒たちに1軒の空き家を提供してもらえることになり、初出店に向けて試行錯誤しながら準備を進めている。
これらの本校商業科の活動の総称を「ONP♪」と名付けた。大洲の新商品(Ohzu New Product)の略であり、大洲高生から発信する「問題ない、大丈夫!」の思い(Ohzu No Problem)も込めている。
今後も、「仲間とともに、地域とともに」を合言葉に、仲間との協働によって地域の魅力を発信し、地域課題に向き合い、地域に貢献できる活動を展開していくつもりである。地域に根ざした商業科での学びが、未来に希望を持ち、実社会で活躍できる力の醸成につながるよう、教育活動の充実を図っていきたい。