本校は、1893年に「農事講習所」として創立され、今年で131年目を迎え、福井県内で唯一の農業の専門高校である。校訓「大地に生きる」を掲げ、生物生産科、環境工学科、生活科学科、食品流通科の4学科で345人の生徒が在籍している。生物生産科は、作物や野菜など農産物の生産について実践的に学び、時代の進展に幅広く対応できる農業技術を学ぶ学科である。そのなかで、科目「課題研究」や放課後活動を通して行っているプロジェクト活動について紹介する。
1つ目の取り組み事例として、大玉トマトの高品質化を目指している。新たなブランドトマトを作るための研究を2023年より行い、今年度はコスト削減とさらなる品質向上を目指した。コスト削減を目指したトマト栽培の検証として、火力発電所から発生する年間約2万トンの廃棄物「クリンカアッシュ」を活用してコスト削減に挑戦した。さらに、東京農業大学の高畑健教授からアドバイスをもらい、ペピーノ台木の活用やリング処理を行い、品質向上について研究している。実際に大学の教授に来てもらい栽培のアドバイスや講義をしてもらった。
2つ目の取り組み事例として、スマート農業での金福スイカ栽培を行っている。福井市特産の金福スイカは、しり割れが起こりやすいという問題がある。そこで、スマート農業を活用して日射量と土壌水分量をAIで計算し、最適な水分量を与え、しり割れが防げないか調査している。さらに、金福スイカ栽培において、企業と連携して波長変換フィルムの実証実験を行い、品質向上できないか調査している。
このようなプロジェクト活動を通して、生徒たちは課題研究の時間だけではなく放課後の時間を活用してさまざまな活動に取り組んでいる。活動の中で企業や大学、地元の農家と協同で研究を進め、地域の課題解決に向けて日々活動している。