本校が所在する神流町は、群馬県の南西部に位置し周囲の山々を源にする関東屈指の清流、「神流川」が流れる豊かな自然が魅力の町である。本校は1951年に開校し創立73年を迎える普通科高校である。「社会で必要なことが学べる学校」を標榜し、普通科でありながら産業や職業を意識したコースを2年次より展開しているのが特徴である。
そのうちの1つである水産コースは、2005年に県内唯一の水産が学べるコースとして設置され、学校横を流れる神流川や地域資源を教材にした学習を展開している。校庭の西側に設置されている養殖池では主にアユ、ニジマス、ヤマメを飼育している。特に県魚であるアユは、5月初旬に県水産試験場から種苗を譲り受け、中間育成に取り組んでいる。
2年次に実施されている「総合実習」ではこれらの魚の管理や燻製などの加工について学び、3年次の「課題研究」へと発展させている。課題研究では、テーマを設定する際に神流町の課題である観光や特産品に関するものを取り入れて考えている。生徒たちは、海なし県だからこそ山奥の水産資源に価値があり、これを利用した地域の活性化をテーマに探究活動を行っている。
町長や役場職員に学習成果のプレゼンテーションを行い、地元旅館や飲食店との連携も精力的に行うなど、地域と連携した活動も行っている。今年度は「淡水魚を活用した新たな特産品の開発」や「地元フルーツを使用したフルーツ魚の開発」などの研究テーマが設定されている。今回展示した「透明骨格標本」と「神流杉を使用したニジマスの燻製」も研究テーマの一部である。
生徒たちは淡水魚の価値を高め、地域のウェルビーイングを向上させようと、日々努力している。社会に出てからも活躍できる人材の育成を目指した活動をこれからも続けていきたい。