ジュニアマイスター顕彰制度による人財育成 ~次代を担う専門的職業人の育成~ 愛媛県立松山工業高等学校

第34回全国産業教育フェア栃木大会【協賛企画】
協賛各社
教育新聞ブランドスタジオ
2023年度高校生ものづくりコンテスト全国大会の電子回路組立部門で準優勝/同校画像提供

 本校は、1909(明治42)年に松山市立工業徒弟学校として開校し、今年度、創立115周年を迎える伝統ある工業高校である。現在、全日制8学科、など定時制2学科が設置され、「自律・創造・協和」の校訓の下、「自ら学び、自ら鍛え、たくましく生きる生徒の育成」を重点努力目標に掲げ、教育活動に取り組んでいる。

 このところは毎年ジュニアマイスター顕彰制度の認定者数上位校(全国上位30校)に認定していただいており、そこで、各学科で行われている資格・検定に向けた主な取り組みを紹介したい。

 機械科においては、近年技能検定への挑戦を奨励して大きな成果を上げている。機械技術部を中心として検定合格に向けた学科・実技試験の学習に取り組んでおり、機械加工(旋盤作業)や機械検査、機械保全などを希望する生徒が受検している。また、3級の受検にとどまらず、2級に挑戦する生徒や優秀な成績を収めて県知事賞を受賞する生徒なども増えている。

技能検定(機械保全)2023年度合格者/同校画像提供
技能検定(機械保全)2023年度合格者/同校画像提供

 多くの生徒が技能検定に取り組むこととなったきっかけは、新型コロナウイルスの蔓延である。校内外の活動が制限される中、生徒が将来を見据え、目標を明確にして意欲的に活動できるよう奨励したことに始まる。今では機械分野のみならず、マシニングセンタや電子機器組立てなどにも挑戦しているほか、第二種電気工事士に挑戦する生徒もおり、他学科の献身的な協力により生徒は希望する資格・検定に精力的に取り組んでいる。また、運動部の生徒が練習後に検定に向けた学習に取り組んだり、昼休みなどの限られた時間に生徒が互いに譲り合いながら実技試験の学習に取り組んだりしており、生徒の主体的・協働的な取り組みもみられる。

 建築科や土木科においては、外部団体や大学などと連携しながら専門分野の資格・検定に挑戦している。建築科においては、各分野の協同組合などの協力を得て、鉄筋組立作業や型枠工事作業、基礎工事作業などの出前授業を実施することにより、専門技術への生徒の興味・関心を高め、各種の技能検定に挑戦している。鉄筋施工や型枠施工、建築大工など、愛媛県職業能力開発協会との連携の下、建築関係の技能検定に多くの生徒が挑戦している。また、土木科においては、愛媛県測量設計業協会の協力を得て測量技術講習会を実施するほか、地元の愛媛大学工学部社会基盤コースの学生とともに測量講習会を実施するなど、生徒に測量について学ぶ機会を多く提供している。これにより、測量士補の試験を多くの生徒が受験しており、毎年10人前後の生徒が合格している。

 本校の場合、ジュニアマイスター顕彰制度に関する取り組みは資格・検定だけではない。以前からものづくり関係の大会などで全国上位入賞を果たしている。近年では、高校生ものづくりコンテスト全国大会において、2021年度の電子回路組立部門での優勝や19年度の化学分析部門での優勝をはじめ、毎年複数の分野で全国大会に出場するとともに上位入賞を果たしている。このように資格・検定への挑戦にとどまらず、高い意識でものづくり教育に取り組めていることが、本校の魅力の一つとなっている。

 ジュニアマイスター顕彰制度は、ものづくり教育を推進する工業高校において、活用しやすい素晴らしい制度である。これからも、本制度を効果的に活用しながら生徒のものづくりへの意識高揚を図り、次代を担う専門的職業人として社会に貢献することのできる有為な人財の育成に努めていきたい。