中立・公正な立場から暮らしに身近な金融に関する幅広い広報活動を展開している金融広報中央委員会は、教育関係者を対象とした「第20回金融教育に関する実践報告コンクール」の実施にあたり、金融教育に関する実践事例や指導計画、提言などを募集している。9月30日締切。(詳細はこちら)
同委員会では、金融教育を「お金や金融のさまざまな働きを理解し、それを通じて自分の暮らしや社会について深く考え、自分の生き方や価値観を磨きながら、より豊かな生活やよりよい社会づくりに向けて、主体的に行動できる態度を養う教育」と定義している。コンクールは、子どもたちの「自立する力」「社会と関わる力」を育む金融教育の重要性や在り方を考えてもらおうと、同委員会が毎年開いている。
募集対象は小中学校や高校などの教員、教員経験者、教職志望の学生、研究者らで、個人・グループを問わない。金融教育に関する活動の紹介や、授業やカリキュラムへの提案など、自由なテーマで作品を募っている。主な審査基準は「実践の成果や課題、児童生徒の反応などを分かりやすく報告しているか」「短期・長期を問わず、児童生徒に効果が期待できる実践内容か」「今後の学校教育の実践の場で取り組むことが可能な内容か」などで、審査結果は12月下旬に発表される。
近年は金融商品・サービスが多様化し、インターネットの普及によってオンライン市場の拡大やキャッシュレス化が進んでいる。2022年4月からは成年年齢が引き下げられ、18歳からクレジットカードやローンなどの契約が親の同意なしでできるようになった。このため、金融トラブルの多発や低年齢化が問題視されている。また「人生100年時代」を生き抜く上で、社会保障制度への理解や、将来を見据えた資産形成も、これまで以上に必要となっている。こうした背景から、子どもたちに早い段階で金融リテラシー(金融、経済に関する知識や判断力)を身に付けさせることが強く求められている。
金融教育への関心が高まる一方、どのように授業や活動に取り入れればよいのか難しさを感じている教員も少なくないだろう。同委員会は、過去のコンクールの優秀作品をホームページ上で公開しており、先進的な取り組みを広く活用してもらいたい考えだ。
17作品が寄せられた昨年のコンクールでは、商業高校の商業、英語の両教科の横断的な授業で取り組んだ、日本と諸外国の医療保険制度を比較した実践が特賞に輝いた。オリジナルで開発した資産運用カードゲームを用いた授業計画や、規格外野菜の販売体験を通して食品ロスやお金の大切さを考える取り組み、手作りぞうきんの販売から職業観や勤労観を高める取り組みなどを報告する作品も高い評価を得た。
このほか、独創性に富んだ作品が多数紹介されている。これらを参考にぜひ、効果的な金融教育の実践方法を探ってみてはいかがだろうか。
コンクールの応募詳細は下記を参照。
幼稚園教諭、小学校・中学校・高等学校・高等専門学校・高等専修学校教員、教員経験者、教職課程在籍または教職を目指す大学生、大学院生、大学教官等研究者
※共同執筆の場合、1名でも教員が含まれていれば応募可能です。
※先生個人の応募に加え、学校としての応募も歓迎します。
2023年9月30日(土)※当日消印有効
金融広報中央委員会
金融庁、文部科学省、日本銀行