教育現場の優れた教育実践論文を顕彰する、第39回東書教育賞(共催・東京書籍(株)、(公財)中央教育研究所)の各賞がこのほど決定した。
今回のテーマは、「未来を担う子どもと共に歩む確かな教育実践」。全国の小・中学校教員と教育関係者から125編の応募があった。
本年度は、「1人1台端末」の時代となり、学校現場でICT活用が日常的となってきたこともあり、ICTを活用した実践の論文の応募数に減少傾向が見られた。
審査の結果、小学校部門で最優秀賞1編、優秀賞2編、奨励賞4編が、中学校部門で優秀賞1編、奨励賞6編が選ばれた。なお、中学校部門の最優秀賞は該当なしであった。贈呈式は受賞者に対して審査員の講評をまとめた映像を送る形で行われる。
最優秀賞には、小学校部門で吉田博明兵庫県稲美町立加古小学校校長の「学校の意識改革を通した『チーム担任制』の実現~全学年単学級の小規模校での複数学年教科担任・複数担任制の取組~」(学校運営)が受賞した。
吉田校長は「近年、公立学校教職員の病気休職者や、精神疾患を理由とした退職者が増加しているが、その原因について、学級担任1人に責任が集中する学級担任制のシステムが対応できなくなっているからではないか」と考えた。担任教師が休職・退職すると、一番傷つくのは子どもであるという問題意識から、子どもたちを守るために、学級担任が一週間で交替していく「複数学年教科担任・複数担任制(チーム担任制)」のシステムを導入。3~6年生の4学年4学級を、複数の教師が教科担任をしながら、学級担任も交替して対応した。教科担任制とともに、学級担任が一週間で交替していく「チーム担任制」を導入した小規模校における取り組みの準備、導入したシステム、導入後の成果と課題についてまとめたユニークな教育実践で高く評価された。
優秀賞には、小学校部門では 河村優詞八王子市立宇津木台小学校主任教諭の「特別支援学級における新聞教育―興味をもって学び活用する児童―」(特別支援)、佐野昌美神奈川県愛川町立半原小学校校長の「プログラミング教育を核にした学校改革と学校ブランディング」(学校経営)が、中学校部門では、篠原孝司千葉県大網白里市教育委員会副主幹兼指導主事の「生徒と共に考え創造性を育んでいく教育の実践」(総合的な学習他)がそれぞれ受賞した。
受賞論文は後日、小中学校別に論文集としてまとめられ、全国の学校・教育機関などに配布される。入賞論文は「入賞論文集」発行後、ホームページで3月31日以降、紹介予定である。