「2024年度 先生のための金融教育セミナー」オンデマンド配信 優れた実践報告や講演が申し込み不要・無料で視聴可能

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金融広報中央委員会
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 金融広報中央委員会は、「2024年度 先生のための金融教育セミナー」と題し、現役教員による金融教育の実践事例や金融教育の専門家による講義動画をオンデマンド形式で配信している。申し込み不要で、視聴は無料だ。金融教育の授業づくりに役立つ情報の提供と、児童生徒の金融リテラシー向上を目指しているという。

 「2024年度 先生のための金融教育セミナー」視聴はこちらから。

 2024年度 先生のための金融教育セミナー|知るぽると (shiruporuto.jp)

今求められる金融教育とは

 社会の変化に伴い、金融リテラシー(お金に関する知識・判断力)を身に付けることの重要性はますます高まっている。人生100年時代、物価上昇やキャッシュレス化などの社会課題を背景に、投資や貯蓄の方法だけでなく家計管理や将来の生活設計を身に付け、社会で自立して生きていく力を育むことができるとして、金融教育が注目を浴びている。金融経済という正解のない問題を探求していく中で、児童生徒はさまざまな人との交流を通じて考えを深め、主体的に判断し行動する力を養うことができるだろう。

 しかし、教員が金融教育に関する専門知識やノウハウを学ぶ機会は十分とは言えない。「2024年度 先生のための金融教育セミナー」の動画視聴は、研さんを深める貴重な機会だ。

起業体験や地域との連携 実践報告動画が授業づくりのヒントに

 今年度、新たに作成された動画は4本。いずれも「第20回金融教育に関する実践報告コンクール」で受賞した、優れた実践の報告である。それぞれの動画は15分前後とコンパクトにまとめられており、忙しい業務の合間にも視聴可能だ。

 東京都武蔵村山市立第十小学校では、「起業体験の導入による金融教育のレベルアップ~衣類のアップサイクルに挑戦した小学5年生の記録~」と題した実践報告を行った。アップサイクルとは、不要になった製品に手を加えて価値を高め、新しいものに生まれ変わらせる「創造的再利用」のこと。実践を発表した校長(実践時は副校長)の今井一馬氏によれば、前年度は高学年児童が規格外野菜や生活雑貨を販売する取り組みを行い、商品やお金の価値を実感することができた。しかし、経費や利益の認識に課題があり、持続可能なビジネスモデルではなかった。そこで、東京都産業労働局の小中学生起業家教育プログラムに参加したのだという。起業家をゲストティーチャーに招き、アップサイクル企業の事例を学んで事業計画を立てた後、児童は算数の学習を生かし原価計算をし、銀行員の融資審査を経て材料を調達。家庭科の時間に商品を製作するなどして準備し、お店を開くに至る。プロの教えを受けながら本気で子どもたちが学ぶと、ここまで成長するのだ。人口減少が予想される地域の活性化や、金融教育の継続的な発展についても大いにヒントを得られる実践である。

 神奈川県横浜市立菊名小学校の濱田卓志教諭は、「5年2組みかづき会社」と題し、総合的な学習の時間における実践例を報告した。「会社を起こし、お金を稼ぐ経験を通して、金融リテラシーを身に付ける必要性に気付いてほしい。また、お金の大切さを感じてほしいという願いから、この学習を立ち上げました」と濱田教諭は語っている。児童は会社を設立し、地域の祭りやショッピングモールでお店を開いた。資金調達のために校長に事業計画のプレゼンテーションを行うなど、本格的な活動には驚かされる。報告では、外部講師や地域との連携、活動で得た利益の使い道なども詳しく解説されているため、授業づくりに大いに役立つだろう。また、濱田教諭が感じた課題も率直に語られている。金融教育に取り組む前にぜひ見ておきたい動画である。

 愛知県長久手市立南中学校の松本咲子教諭は「消費者としての自覚をもち、理想の消費生活を創造する生徒の育成~学校・地域・社会と連携した金融教育~」と題し、中学校技術・家庭科(家庭分野)での実践を報告した。中学3年生を対象とし、家計管理やインターネット通販における消費者トラブルなどをテーマに、地域社会と連携した授業を行った。家計管理シミュレーションでは、生徒たちは食費、住居費などの平均支出額と自分の理想の生活を考え合わせながら、1か月の支出予定金額をタブレットに入力した。ほとんどの生徒が、支出が収入を上回る結果となり、「社会保険料って何?」「税金高い」と率直な質問や驚きを口にしたという。最初は将来への不安を口にしていた生徒が、これら一連の学習を通して、契約の複雑さに直面しながらも正しい知識で身を守れることに気づいたり、生涯費用を意識するようになったりと変容していく姿には、金融教育の持つ力を感じる。結果として、生徒は徐々に理想の消費生活をイメージできるようになった。授業を通して生徒が消費者としての自覚を高め、必要な知識や判断力を身に付けたことが伝わる実践報告である。

 「子どもが本気になる学習には①正解がなく、調べたことをもとに自分なりの価値観や考えをつくる知識構築、②社会で生かせる学び、③多様な価値観を持つ他者との交流――の3つの要素がある。金融教育はこの全てを含んでいます」。そう話すのは前 福岡教育大学附属福岡小学校主幹教諭(現 福岡県教育庁福岡教育事務所指導主事)の井手司氏だ。実践報告「学習者主体の授業づくりを金融教育で実現しよう!ソーシャルビジネスで世界を救おう!~目指せ!小学生起業家~」では、6年生がSDGsの課題解決としてソーシャルビジネスに着目するところから実践がスタートする。児童はスタートアップカフェの見学や起業家との交流を通して学びを深めた。この実践では、ゲストティーチャーから、講義だけでなく児童の相談に乗り一緒にビジネスプランを作るなどの協力が得られた。「外部のリソース活用はカリキュラムマネジメントを進める上でとても重要です」と井手氏。最終的に児童はビジネスプランを発表し、社会の一員としての自覚や学びの意義を感じたという。金融教育の可能性を大いに感じる実践である。

※所属は2023年12月時点。

高等学校や特別支援学校の事例、専門家のセミナーなど過去動画も視聴可能

 今年度新たに作成された動画は小学校・中学校の実践報告だが、2022年度・2023年度の動画には高等学校や特別支援学校の事例も含まれている。2022年度・2023年度は申込者に限定した配信形式だったため、これらの動画が一般公開されるのは今年が初めてである。どの校種・教科の教員にとっても役立つ動画が見つかることだろう。

 新潟県立三条商業高等学校・市川操教諭による「商業科と英語科における教科横断的な金融教育の実践『日本と諸外国の医療保険制度の比較から』~今、私たちが考え、実践するべきこと~」は、生徒が将来自立した生活を営む際にお金で困らない知識を得ることを目指した実践である。生徒は商業科で学んだ税金や社会保険などの知識を生かし、アメリカの大学生に医療制度についてのインタビューを行った。商業科で学んだことを英語科の学習でさらに発展させたのである。金融教育はどの教科でも実践できることを表した報告と言えるだろう。

 高知大学教育学部附属特別支援学校からは、「知的障害のある生徒の生きる力につながる金融教育を~特別支援学校高等部家庭科におけるカリキュラムマネジメント~」が報告された。発表者の安岡知美教諭によれば、生徒の自立のためにはお金を賢く使うスキルが欠かせないとの思いから、社会保険や税金の学習に加え、夢をかなえるためのお金の未来ノート作りなどに取り組んだのだという。知的障害のある生徒の生きる力につながる金融教育は必見だ。

 加えて、前年度までのセミナーで好評だった東京大学大学院経済学研究科・渡辺努教授や経済ジャーナリスト・後藤達也氏による講演など、多くの専門家による講演も視聴が可能だ。動画の数は20本以上に上る。金融リテラシーの重要性を再認識し、児童生徒への指導に生かせる知識を得ることができるだろう。

申し込み手続き不要 教員自身の資産形成のヒントにも

 金融教育は、児童生徒が自ら考え判断する力を育むための重要なツールだ。社会を学ぶことと身の回りのお金について学ぶことは切り離せない。

 「2024年度 先生のための金融教育セミナー」内で公開されている動画の視聴は全て無料。申し込み手続きも不要で、「動画を見る」をクリックするだけで視聴できる。お金や金融経済について分かりやすく解説した動画も多数あり、教員自身にとっても、資産形成のヒントとして大いに役立つことだろう。

 教育関係者以外でももちろん視聴できる。金融教育に興味や関心のある保護者もぜひ視聴してみてはどうだろうか。

 このセミナー動画を通して、金融教育に対する理解を深め、児童生徒の未来をより良いものへと導くためのヒントを得られるに違いない。

 「2024年度 先生のための金融教育セミナー」視聴はこちらから。

 2024年度 先生のための金融教育セミナー|知るぽると (shiruporuto.jp)

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2024年度 先生のための金融教育セミナー|知るぽると (shiruporuto.jp)

 

金融広報中央委員会の機能は、2024年8月に金融経済教育推進機構(J-FLEC)に移管・承継されます。移管・承継後も引き続きJ-FLECのホームページで動画をご視聴いただけます。

J-FLECのホームページ https://www.j-flec.go.jp/

 

セミナープログラム

  

現役教員による授業実践―実践報告コンクール受賞作品

2024年度(令和6年度)

小学校 総合的な学習の時間

起業体験の導入による金融教育のレベルアップ~衣類のアップサイクルに挑戦した小学5年生の記録~

武蔵村山市立第十小学校

副校長(現 校長)今井 一馬 氏

武蔵村山市立第十小学校 教諭 久保田 萌海 氏(現 国分寺市立第二小学校)

武蔵村山市立第十小学校 教諭 山田 貴弘 氏(現 練馬区立上石神井小学校)

※第20回金融教育に関する実践報告コンクール特賞受賞

 

小学校 総合的な学習の時間

5年2組みかづき会社

横浜市立菊名小学校 教諭 濱田 卓志 氏

※第20回金融教育に関する実践報告コンクール優秀賞受賞

 

中学校

技術・家庭科(家庭分野)

消費者としての自覚をもち、理想の消費生活を創造する生徒の育成~学校・地域・社会と連携した金融教育~

長久手市立南中学校 教諭 松本 咲子 氏

※第20回金融教育に関する実践報告コンクール優秀賞受賞

 

小学校

総合的な学習の時間

学習者主体の授業づくりを金融教育で実現しよう! ソーシャルビジネスで世界を救おう!~目指せ!小学生起業家~

福岡教育大学附属福岡小学校 主幹教諭(現 福岡県教育庁福岡教育事務所 指導主事)井手 司 氏

※第20回金融教育に関する実践報告コンクール優秀賞受賞

 

2023年度(令和5年度)

高等学校 英語科

商業科と英語科における教科横断的な金融教育の実践「日本と諸外国の医療保険制度の比較から」~今、私たちが考え、実践するべきこと~

新潟県立三条商業高等学校 教諭 市川 操 氏

※第19回金融教育に関する実践報告コンクール特賞受賞

 

小学校 総合的な学習の時間

規格外野菜の販売体験を通した金融教育のスタート~「食品ロス」に対する総合的な学習の時間の取組~

武蔵村山市立第十小学校 副校長 今井 一馬 氏

武蔵村山市立第十小学校 教諭 久保田 萌海 氏

※第19回金融教育に関する実践報告コンクール優秀賞受賞

 

小学校 総合的な学習の時間

小学生がお金を稼ぐ!?~お金の学習を通して生き方をより良くしよう~

横須賀市立夏島小学校 教諭 髙岡 政晴 氏

※第19回金融教育に関する実践報告コンクール優秀賞受賞

 

2022年度(令和4年度)

特別支援学校 家庭科

知的障害のある生徒の生きる力につながる金融教育を~特別支援学校高等部家庭科におけるカリキュラムマネジメント~

高知大学教育学部附属特別支援学校 教諭 安岡 知美 氏

※第18回金融教育に関する実践報告コンクール特賞受賞

 

小学校 生活科

生活科を中心とした小学1年生からはじめる金融教育の提案─離島・へき地地域のコミュニティ経済を活かして─

那覇市立上間小学校 教諭 山本 銀兵 氏

※第18回金融教育に関する実践報告コンクール優秀賞受賞

 

中学校 社会科

他国の経済事情を学ぶことを通して育む起業家精神~中国ベンチャー企業から現在の日本が学ぶべきこと~

春日部市立武里中学校 教諭 小谷 勇人 氏

※第18回金融教育に関する実践報告コンクール優秀賞受賞

 

高等学校 商業

金融教育を活用した商業教育カリキュラムの開発~金融教育の実践と新学習指導要領(平成30年告示)への対応~

鹿屋市立鹿屋女子高等学校 教諭 新留 崇夫 氏

※第18回金融教育に関する実践報告コンクール優秀賞受賞

 

金融教育の専門家による授業のヒント

2023年度(令和5年度)

高等学校 現代社会(公共)・情報Ⅰ

金融・消費者問題を学び、考え、議論し、体験するSTEAM授業~マネビタを活用した授業実践~

早稲田摂陵高等学校 教諭 米田 謙三 氏

 

わたしたちの暮らしは金融でどう変わるのか?

大阪大学大学院経済学研究科 教授 安田 洋祐 氏

 

子どもたちの金融リテラシーを育む授業方法

山梨大学大学院総合研究部教育学域 教授/山梨大学教育学部附属小学校 校長 神山 久美 氏

 

成人になる前に身につけておきたい金融知識

日本経済新聞社 編集委員・マネーエディター 山本 由里 氏

 

お金について学ぶことの大切さ

税理士 大河内 薫 氏

 

具体例から説き、直感的な理解へ誘う金融経済教育

東京大学大学院経済学研究科 教授 渡辺 努 氏

 

教科「社会科」と視点「金融教育」

大妻女子大学家政学部 教授 澤井 陽介 氏

 

家庭科で展開する金融教育

大阪教育大学健康安全教育系 教授 鈴木 真由子 氏

 

2022年度(令和4年度)

元日経記者が教える金融知識の伝え方

経済ジャーナリスト 後藤 達也 氏

 

お金の基本知識を等身大の目線でわかりやすく伝えるノウハウ

日本金融教育推進協会 代表理事 横川 楓 氏

 

フィンテックを活用した家計管理教育

電子決済等代行事業者協会代表理事 瀧 俊雄 氏

 

家庭科で実践したい金融教育

埼玉大学教育学部 教授 重川 純子 氏

 

SNSを活用した金融教育

慶應義塾大学経済学部 教授 藤田 康範 氏

 

※2022・2023年度動画の所属・肩書は、各年度の金融教育セミナー実施時点。