教育現場の優れた教育実践論文を顕彰する、第40回東書教育賞(共催・東京書籍(株)、(公財)中央教育研究所)の各賞がこのほど決定し、贈呈式が1月25日、東京書籍(株)本社で開催された。
今回のテーマは、「未来を担う子どもと共に歩む確かな教育実践」。全国の小・中学校教員と教育関係者から154編の応募があった。
本年度は「個別最適」をタイトルに含む論文が5編、「自由進度学習」をタイトルに含む論文が3編あった。教科・領域では「特別支援」関係が9編あり、多様な児童・生徒が学ぶ現在の学校の現状を反映している。今回初めてタイトルに「生成AI」を含む応募論文もあった。また、第40回を記念して「特別記念賞」が設けられた。
審査の結果、小学校部門で優秀賞3編、特別記念賞1編、奨励賞4編が、中学校部門で最優秀賞1編、優秀賞1編、特別記念賞2編、奨励賞3編が選ばれた。なお、小学校部門の最優秀賞は該当なしであった。
最優秀賞は、中学校部門で永田祐己愛知県岡崎市立福岡中学校栄養教諭の『集団での給食活動における個別最適な栄養摂取を目指した取組』が受賞した。
永田栄養教諭の勤務校は市内でも給食の残菜率が低いが、給食巡回時にご飯やおかずを極端に減らしたり増やしたりする生徒が目に付くことがあった。
本来であれば、生徒全員が各個人に合った適量を摂取することで残菜がなくなることが望ましい。そこで、給食における「ご飯」の適量摂取に対象を絞って実践を行い、実践の軸を2点に絞った。1点目は、生徒一人一人が自身の適量を知ること。2点目は、「いただきます」の時点で各個人の適量が盛り付けられた状態をつくること。
栄養教諭という立場上、実践の場面が限定されるが、1点目は家庭科、2点目は学級活動の時間に授業を実施。実践前と2つの授業後の計3回、それぞれ3日間ずつ給食時にご飯の摂取量について計量・記録を行った。各個人の数値の変化から、個別最適なご飯の摂取量に近づくことができたか検証を行い、有意な結果を得ることができた。栄養教諭の立場を生かした実践は、食育だけでなく持続可能な活動となり得る実践と評価された。
永田栄養教諭は「2005年から栄養教諭制度が始まり20年になるが、まだまだ栄養教諭の配置が十分に進んでいない地域もある。学校現場の認知度も低いところがある。この受賞が栄養教諭の存在や取り組みを知っていただく機会になってほしい」と思いを述べた。
受賞論文は後日、小中学校別に論文集としてまとめられ、全国の学校・教育機関などに配布される。入賞論文は「入賞論文集」発行後、ホームページに紹介予定である。