【修学旅行や校外学習にも最適】領土・主権展示館がリニューアル

【協賛企画】
内閣官房 領土・主権対策企画調整室
教育新聞ブランドスタジオ

 国際情勢が日々変化する中、領土に関する教育の重要性が改めて認識されている。学習指導要領でも、小・中学校の社会科、高等学校の地理歴史科・公民科において国土の様子や領土の範囲などを取り扱うこととされており、児童生徒が主体的に学ぶ授業づくりが求められる。

 しかし教育現場からは、「領土に関する教育は難しい」との声が多く聞かれる。指導案や副教材などの情報は十分とはいえず、教員自身も指導を受けた経験が浅いためだ。また、多様なバックグラウンドを持つ児童生徒が増加し、指導にあたっては細やかな配慮が必要となっている。

 そんな現場の悩みに応える国の教育施設として注目されているのが、東京・虎ノ門にある「領土・主権展示館」だ。日本の領土・主権への理解を国内外に浸透させていく発信拠点として2018年に開館した。2025年4月中旬にリニューアルオープンを予定しており、若い世代がより親しみやすい施設になるという。同年夏から秋にかけては施設をさらに拡張し、日本の国土や領土、海洋について広く取り扱う施設となる見通しだ。

 内閣審議官/内閣官房領土・主権対策企画調整室室長の岡朋史氏に、同施設の概要や教育現場での活用イメージを聞いた。

内閣審議官/内閣官房領土・主権対策企画調整室室長 岡朋史氏
内閣審議官/内閣官房領土・主権対策企画調整室室長 岡朋史氏

映像や体験型設備を活用 主体的に学べる仕組みが整う

 「領土・主権展示館は、今回のリニューアルでテーマパークのような体験型施設に生まれ変わります」。そう岡氏は話す。従来のパネル中心の展示から一新し、児童生徒が楽しめる仕掛けを多く取り入れたのだという。

 リニューアルの大きな目玉が、「読む」展示から「体感する」展示への進化だ。入場後すぐ目に付く場所に「オープニング・ビジョン」が投影され、領土に関する問題の概要を短時間でつかめる。「ヒストリー・ウォール」では壁全体に2Dアニメーションで各島の歴史的経緯を投影し、分かりやすく解説。難しい歴史もストーリーで楽しく学ぶことができるという。また「ハンズ・オン・アース(デジタル地球儀)」では、地球を模した1㍍程度の球体に地図を投影し、学習指導要領に沿った内容を分かりやすく解説する。

圧倒的な迫力で島々の自然を体験できる「イマーシブ・シアター」(イメージ)
地球儀に投影された地図で学習指導要領の内容が学べる「ハンズ・オン ・アース」(イメージ)

 中でも目を引くのが「イマーシブ・シアター」だ。13台のプロジェクターを室内に配置し、背面を除く5面(上下左右正面)にCG映像を展開。空を飛んで島々に降り立ったり、海に潜ったりする仮想体験の中で、北方領土や竹島、尖閣諸島それぞれの自然を臨場感とともに楽しむことができる。「島々の美しい自然を感じながら、ふるさとへの愛着が育める仕組みになっています。まずは楽しむことを大切にし、領土に関する問題を身近なものとして学べるようにしたいと考えました」と岡氏。投影は約8分間で、1回に最大15名ほど収容可能だ。

圧倒的な迫力で島々の自然を体験できる「イマーシブ・シアター」(イメージ)
圧倒的な迫力で島々の自然を体験できる「イマーシブ・シアター」(イメージ)

 他に、小学校高学年未満の児童も楽しめるコンテンツを集めたキッズコーナーも設置予定だという。

オーダーメイドで見学コースを作成 昼食場所の提供も

 同施設では、学校のニーズや旅程に合わせ、多彩な見学コースを用意している。

 「ポイント学習コース(30分)」では、展示解説や映像視聴の後、自由見学・質疑応答を想定。短時間でのコンパクトな見学が可能だ。同施設は銀座線や日比谷線、千代田線など各線からのアクセスも良好なため、都内見学の途中で立ち寄るなどの活用方法も考えられる。

 アクティブラーニングの形式でじっくり学習させたい場合には、昼食休憩を挟みながら映像視聴やグループワーク、質疑応答までを行う「充実学習コース(90分)」がある。多彩なコンテンツを使い、友達と話し合ったり解説員に質問したりする形での学びが可能だ。

 これらのコースはあくまで一例であり、学年、見学人数、事前学習の有無などに応じて当日の説明内容や所要時間を事前に相談・調整できるという。2025年4月中旬のリニューアルオープン時点では、班別行動など少人数の見学から最大2クラス程度まで利用可能。拡張部分が完成する同年秋以降は、160名程度まで利用できる見込みだ。

 修学旅行の行き先としてよく選ばれる国会議事堂とも徒歩圏内だ。国会議事堂で政治に触れ、領土・主権展示館で日本の領土について学ぶなど、効率的な学習プランが可能となる。

体験型施設に生まれ変わる領土・主権展示館内部(イメージ)
体験型施設に生まれ変わる領土・主権展示館内部(イメージ)

 領土に関する問題を切り口としつつ、さまざまなカリキュラムと関連付けて見学できるのも同施設の強みだという。社会科では地理・歴史・公民の学習内容に対応。また総合的な学習(探究)の時間でも、課題発見力や情報活用能力、主体的・協働的に学ぶ態度の育成に役立つことが期待できる。

 同施設の見学は、学習の導入にも適しているという。「体験型展示や歴史的資料に触れることで、児童生徒が興味を持って主体的に考えるきっかけとなるのではないでしょうか。展示館で生まれた疑問を学校に戻ってから探究することで、より深い学びへと進んでいただければと思います」と岡氏は力を込めた。

 同施設では、説明は解説員が行うため、教員は引率に専念でき、初めて訪れる場合でも活用しやすい。「児童生徒にとって分かりやすいだけでなく、先生方にも参考となるように説明します」と岡氏。多様なバックグラウンドをもつ児童生徒にも配慮し、客観的な事実に基づいた説明をするという。 

 また、都内での修学旅行・校外学習では昼食場所の確保が悩みの種だが、同施設では館内に飲食可能なスペースを設けた。「天候に左右されず昼食がとれる場所は貴重」との声も聞かれる。

「副教材として活用してほしい」探究学習の心強い味方に

尖閣諸島のイメージキャラクター・アホウドリの「アルバちゃん」
尖閣諸島のイメージキャラクター・アホウドリの「アルバちゃん」

 2025年夏から秋にかけて完成予定の拡張部分では、日本の国土、領土、海洋全般について取り扱うほか、各種ワークショップの開催や自主学習に活用できるライブラリーの設置を予定。都内を班別行動する児童生徒の見守り拠点として、教員が終日待機できるコーナーとしても活用可能だという。また、飲食可能なスペースも拡充される予定だ。

 また、オンラインでのサービス提供にも意欲的だ。同施設は以前から公式HP上に「デジタル展示館」を設け、インターネット上で展示の閲覧ができるようにしてきた。リニューアル後もオンラインでの見学や講義などを企画し、遠隔地からのアクセスに対応するという。

 豊富な資料を所蔵する同施設は、教員自身の研修の場としても可能性を秘めている。「領土に関する問題は、先生方にとっても実感が難しいのではないかと感じます。この施設で体験的・客観的に学んでいただく中で、領土に関する教育の一つのイメージが湧くはずです。ぜひ全国から来館し、当施設を副読本・副教材のように活用していただきたい」と岡氏。現場の教員と協力し、探究的な学習に対応できるワークショップや副教材の開発にも取り組んでいく考えを示した。

 個人での見学は予約不要だが、団体利用に際しては同館ホームページからの事前の申し込みが必要。見学・問い合わせは電話やメールで随時受け付けている。

 まずは教員自身が見学することで、領土に関する教育や探究学習のヒントが得られるのではないだろうか。

  

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領土・主権展示館

 ● 所 在 地 東京都千代田区霞が関3-8-1 虎ノ門ダイビルイースト1階

 ● 開館時間 10時~18時

 ● 入 館 料 無料

 ● 休 館 日 月曜日(月曜日が祝休日となる場合はその次の平日休館)、年末年始(12月29日から1月3日)

  ※ 3月第1週の日曜日は臨時休館

 ● 電話番号 03-6257-3715

 ● 近隣施設 国会議事堂、憲政記念館、文部科学省情報ひろば、千代田区立日比谷図書文化館、日比谷公園、虎ノ門ヒルズなど

 

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団体申込みアドレス

info@mtas.go.jp