関東学院大学経済学部 准教授
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。最終回では、過去9回の話をまとめ、部活動をこれからどうするべきなのかについて話したいと思います。
学校教育界と日本社会という2つの円を想像してみてください。学校教育界という小さな円が日本社会という大きな円の中に入っている図です。学校教育界の中では、限られた人(教職員)、限られた予算、限られた時間というリソースの中で、教育効果を最大化するように動いているはずですし、そうであってほしいと思っています。
大きな転換にはリスクが伴います。地域移行が成功すれば、部活動は持続可能なものとなり、子どもがスポーツや文化に触れる機会を持ち続けることができるでしょう。スポーツや文化を支える地域・民間の活力が大きくなる可能性も秘めています。
部活動をなくさない(部活動というインフラを保つ)ための一解決策として、部活動の地域移行が模索されています。改革の入り口として進められているのは、休日の部活動を地域に移行することです。
私は、部活動は長い時間をかけて整備されたインフラのようなものだと感じています。インフラ(infrastructure)とは社会基盤、または社会資本と訳されますが、要は社会や日々の生活を支える土台のことで、水道、ガス、電気、道路や鉄道、郵便、流通網、インターネットなどがそれに当たります。
部活動のこれからの在り方を議論する際、部活動の意義を理解していることが重要です。どのような役割を担っているのか、どのような効果があるのかを理解していないと、それにどの程度のコストをかけてよいのか、またはなくしてよいのかが判断できないからです。
多くの人にとって、部活動はとても身近な存在です。中学校に進学したら部活動に入ることが当たり前だと思っている人も少なくないでしょう。しかし、そもそも部活動とはどのようなものなのか、今回はこの「当たり前」を超えて考えてみたいと思います。
昨今の部活動改革の大きな背景となっているのが教員の過重負担です。今回はその現状をまとめます。 まず、部活動が教員の仕事か否かという点ですが、これは半分イエスで半分ノーと言えます。勤務時間内(17時頃まで)であれば、校内のそのほかの分掌と同様に校長が命じて担当してもらうことが可能です。
「ブラック部活動」という言葉を聞いたことがありますか? 聞いたことがない方でも、「ブラック企業」であればご存じだと思います。「ブラック部活動」と聞いてどのような部活動を思い浮かべるでしょうか。おそらく人によって、想像する内容が異なるのではないかと思います。今回はその曖昧さについて、整理します。
今、部活動が大きな転換期を迎えています。これから部活動は、どのように変わっていくのでしょうか。そして、その変化の行き着く先はどのような未来なのでしょうか。日本の教育や社会を少しでも良いものにしたいと思い、本連載では部活動に関わるさまざまな問題点を概観しながら論点を整理し、部活動について共通認識を持ちながら対話ができるようになることを目指します。
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