株式会社SPACE代表取締役CEO
社会のグローバル化や情報化が進み、AI時代に突入する中、人類が宇宙に住むという話も現実のものとなりつつあります。私たちは宇宙時代に向かって歩み始めたように感じます。
前回の記事で紹介した実証事業では、学習者主体のオーナーシップがどんな環境で育まれやすいのかについても検証しました。参加者には動画視聴とオンラインライブという学習スタイルで、学びたいテーマを選んでもらいました。その結果、8割超の参加者が「オンライン探究を継続したい」と希望したのです。
SPACEでは、2020年度の経産省「未来の教室」実証事業の中で、学習者の認知特性と学習スタイルや学習効果についてのアンケートを実施しました。
SPACEでは個別最適な学びを実現するために、「個才」を見える化させる必要があると考えています。2019年から始まったGIGAスクール構想により、21年度にはほとんどの義務教育段階の学校において1人1台端末環境での学習が始まります。学校ではAIドリルが導入され、習熟度に合わせて学習内容やペースを調整できます。先生が全児童生徒に同じ内容を伝達していた従来型の授業と比較すると、この授業スタイルは一人一人の習熟状況に沿って内容を伝達でき、学習者に寄り添った学びが実現するものと感じます。
「異才をつぶさず社会に接続する」。そんな命題を背負って始まったROCKETですが、「ユニークな子どもの才能発揮」という点では、社会への突破口を開いたと思います。初年度に15歳だった参加者も成人を迎え、仕事につながる動きも見えています。しかし、特性やこだわりの強い彼らが社会で生きていくには、自分らしくいられる、安心できる環境を見つけることが大きな課題であるとも感じています。
私がROCKETで出会ってきた子どもたちのうち3割くらいは、さまざまな理由から学校になじめない、完全不登校の状態でした。「学校に行くのは当たり前」と捉えられてしまう世の中で、そうでない選択肢を取るのは勇気のいる決断です。しかし、だからこそ、新たな場所で自分の好きなことに没頭する青年たちもいます。今回は、学校の枠を外した彼らの多様な在り方の一部を紹介します。
ROCKETで行われるプログラムに「解剖して食す」というものがあります。毎年異なる食材が手渡され、子どもたちは約5時間、それらと格闘することになるのですが、2016年は、エビ・カニなど甲殻類が用意されました。
今回は、私が2014年の立ち上げから約6年にわたってプロジェクトリーダーを務めてきた「異才発掘プロジェクトROCKET(以下、ROCKET)」についてご紹介したいと思います。ROCKETは日本財団の全面的な資金提供を受けて、東京大学先端科学技術研究センターでスタートした教育プロジェクトです。
私の専門領域は「教育」「心理」「食」ですが、これらは「学びとは何か」を模索する中で寄り道した領域です。これらを融合させながら、子どもたちとの学びの実験を通して私が感じたのは、「学びとは、自分を人生の主役として豊かに生きるためのトライアルである」ということ。そして、体と頭と心を作動させて、「感覚」「知識」「価値観」という三つの軸をつくり、磨き上げるのが重要だということです。
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