弁護士・兵庫教育大学大学院准教授
国会では今、子ども基本法案が議論されています。自民党が提出した法案では、第三者機関として勧告などを行う「子どもコミッショナー(仮)」の設置は見送られています。
教員の労働問題を解決するためには、真っ先に現在の仕事量を減らすことです。私は「教えることが多過ぎる」、つまり学習内容が全く精選されていない点を改善すべきだと考えています。
公立学校の先生は給特法と呼ばれる法律に基づいて、政令で定めた4つの業務でなければ残業を命じることができず、当該業務に関する残業分の手当があらかじめ給料に上乗せされています。しかし、実際には部活動や授業準備など、4つの業務以外で多くの先生が事実上の残業を強いられています。
最近、「いじめ加害者に対しては出席停止をもっと活用すべきである」という主張をネット上でよく見掛けます。しかし、私はこの主張は理論的にも実務的にも丁寧な分析に基づいておらず、やや議論を単純化する傾向にあると懸念しています。
「いじめは犯罪だから学校ではなく警察が対応すべき」と昔からよく言われます。しかし、正確には法律上のいじめは3種類あり、犯罪に該当するのはそのうちの1種類です。
ここ数年、全国の学校で校則を見直す動きが広まっています。背景には、教育現場のグローバル化や価値観の多様化に加えて、新型コロナウイルスに臨機応変に対応しなければならない実情があります。
前回紹介した裁判所の考え方に基づけば、教育上の目的達成に必要とも言えず、社会通念に照らして合理的とも言えない校則は違法です。「下着の色を確認する」「地毛を黒髪に染めさせる」といった校則は、ともすれば犯罪行為やハラスメントに該当する行為であり、どのような教育目的があったとしても許されることではありません。
校則は非常に身近な教育の話題であるとともに、誰もが議論しやすい典型的な学校の法律問題です。しかし、実は学校が校則を制定できると明記している法律はありません。憲法の人権保障の観点からは、人はみな個人として尊重され、服装や頭髪などを自分で決める権利が保障されていることから、憲法学者の中には「学校が髪型や服装に関する校則を制定しても、生徒はそれに従う義務はない」という見解を示す人もいます。
スクールロイヤーをしていると、いじめ、体罰、ブラック校則、労働問題など、学校ではさまざまな法律問題が生じていることを実感します。学校で違法なことが起きる原因について、弁護士や研究者の多くは教師が法律や子どもの人権をよく理解できていないことに原因があると考えています。確かにそうかもしれませんが、本当にそれだけでしょうか。
皆さんは「スクールロイヤー」という言葉を聞いて、どのような弁護士を想像するでしょうか。....
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