京都精華大学教授
情報科については、大学入試センターが2025(令和7)年度に「情報Ⅰ」を入試科目として実施することを決定し、これを受けて国立大学協会が従来の5教科7科目から、「情報Ⅰ」を入れた6教科8科目にすることについて検討を行っている。
学習指導要領を作成するにあたって、学会との協力は欠かせない。今回も多くの学会の協力をいただいた。日本教育工学会、情報処理学会、日本情報科教育学会、教育システム情報学会、日本産業技術教育学会など、本当に多くの方々にお世話になった。各教科の学習指導要領を取りまとめる教科調査官の多くは、長年現場の教員を務めた教科指導の専門家ということになっている。
学習指導要領改訂によって、高校情報科の内容は大きく変化した。「社会と情報」「情報の科学」の2科目からどちらかの科目を選んで履修するという選択必履修から、「情報Ⅰ」のみを全員が履修するという共通必履修に変わり、全員がプログラミングやネットワーク、データベースの基礎を学ぶ上に、内容も高度になった。
学習指導要領は、教科等の目標や大まかな教育内容を定めたものである。該当教科の内容および方法について順守すべき基準を示すものであり、法的拘束力がある。一方、学習指導要領解説には、法的拘束力がない。教科書検定においても、検定基準として取り込まれているのは学習指導要領であって、学習指導要領解説ではない。
「論点整理」で各教科等の方向性を出し、情報ワーキンググループの前半で小・中・高校で育む情報に関する資質・能力について議論し、発達段階ごとにこれを整理した。情報科は、高校段階での情報活用能力育成の要となる教科として、その内容を定め、これを学習指導要領としてまとめることになる。
2015年8月に出された「論点整理」では、高校生全員が後に「情報Ⅰ」と呼ばれる科目を学ぶことと、選択科目として後に「情報Ⅱ」と呼ばれる科目を設置することが決まっていたが、内容の詳細は今後の議論を待つことになっていた。
前回述べた「論点整理」を踏まえて、各学校段階や各教科・科目等の方向性について専門的に検討するため、2015年8月に「学校段階等別部会及び教科等別ワーキンググループ等」が設置された。情報については、独立して「情報ワーキンググループ」が設けられ、小・中・高等学校で育まれる情報活用能力の育成、高等学校の情報科の改善、必要な方策について議論が行われることになった。
新学習指導要領は、2014年に文部科学大臣が中央教育審議会に「新しい学習指導要領を作ってください」と諮問をしたことから始まる。中教審は、それを受けて教育課程部会で議論し、小中学校は18年に、高等学校は19年に文科大臣が公示する。この間に幾つかのマイルストーンがあり、そこでさまざまなことが決まっていく。
文部科学省に着任してからしばらくして教育課程企画室に呼び出され、「小学校のプログラミング教育についてどう思われますか」という相談を受けた。文科省には、「ライン」とよばれる職員の部門と、教科調査官のように外部からの専門家が勤める部門がある。そういうわけで、教科調査官は何かにつけて職員から相談を受ける。国立教育政策研究所自体が、そのためのシンクタンクとも言える。
私は2015年の4月から文部科学省に、高等学校の情報科担当の教科調査官として勤務することになった。正確には文科省の建物の5階と6階にある国立教育政策研究所に、高等学校情報科の教育課程調査官として勤務することになった。文科省の教科調査官は併任である。
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