立教大学教授
最近刊行された『嫌いな教科を好きになる方法、教えてください!』(河出書房新社)という本に、短いエッセイを寄稿している。各科目との向き合い方を、研究者や教師、アーティストなどが語るという内容の本だ。
「子どもや学生に教えるのはいいけど、大の大人にはあまり教えたくない」。都道府県の教育センターなどで教えることになった学校現場の先生方、指導主事の方々、教育委員会の方々から、そういう声を聞くことがある。個人的には「重要なポイントは、それほど、変わらないはずだ」と思う。
臨時委員として参加している中央教育審議会の「『令和の日本型学校教育』を担う教師の在り方特別部会基本問題小委員会」という会議で、教員養成系大学の在り方、教職課程の在り方、教員の人手不足問題をどうするかについての話し合いが行われている。
新型コロナウイルスのオミクロン株による感染が急拡大して、さまざまなワークショップや研修などが再びオンラインに移行している。上田信行先生(同志社女子大学名誉教授)と私たちが、1月に奈良・吉野で企画していたワークショップも、対面ではできないという判断で、オンラインで実施することになった。
教員の働き方改革はどうあるべきか。3回連載の最後は「管理職の登用・育成・異動」と「教員養成系大学のカリキュラム」について。.....
急務になっている教員の働き方改革だが、現状では育成について問題が多いように感じている。今回は教員の学びについてである。.....
教員の働き方について、議論が高まっている。離職の問題、人手不足の問題、長時間労働、いろいろと課題が指摘されてきた。この問題は、本筋ならば、教師を教える専門家や教育現場の労働環境の専門家が、知恵を出し合い、場合によっては学会総出で取り組むべき課題だとも思う。
大学の教員として、「どうすれば良い研究が生まれるか」ということをいつも考えている。私の持論では、良い研究は「6:3:1の法則」で生まれる。今日は、この持論を解説したい。
緊急事態宣言の中で新学期が始まって、各地の小中学校、高校では、分散登校やオンライン授業など、それぞれの状況に対応した細やかな感染対策が必要になっている。オンラインと対面を組み合わせたハイフレックス(HyFlex:Hybrid-Flexible)型の授業に取り組んでいる学校もあるようだ(一部の自治体ではハイブリッド型授業とも呼ぶ)。
人材開発・組織開発という泥臭い分野の研究をしているので、若い管理職、経験の浅いリーダーを育成する現場や研修によく立ち会う。マネジメントの研修を必要とする人たち10人のうち3人ぐらいは、「正解を知ってるもんね病」に罹患(りかん)しているように感じている。そういう方は「リーダーや管理職は正解を持っていなければならない」と思っているケースがある。
コロナ禍になってオンライン授業の取り組みが一気に進んだ。大学はもとより、3回目の緊急事態宣言で大阪市が小中学校の一部の授業をオンラインに転換したように、初等中等教育の現場でも、さまざまな試みがされている。成果を感じている人もいれば、トラブルを抱えて困っている人もいるだろう。大阪市では現場などから「突然すぎる、準備が間に合わない」と反発があったようだ。
世の中を見渡せば「対話」という言葉があふれている。学校では「対話的な学び」と言われるし、企業でも従業員の対話を増やすべきだとか、あるいは世の中の対立と分断を乗り越えるには対話だとか。私たちはその重要性を分かっているはずだが、では、「対話とは何か」と正面から問われたら、答えられるだろうか。「対話とはそもそも何か」について答えられぬままに、「対話」に関する重要性が主張されている気がする。
2020年はオンライン授業元年だった。授業とITを巡る試みは、私が大学の学部生の頃は遠隔授業と言われていたし、その後、バーチャル・ユニバーシティーとか、eラーニングとか、MOOCとか、いろいろ言われたが実質的には20年間、あまり進んできたとはいえない。それが、コロナ禍によって一気にブレークスルーした。
人材開発・組織開発を専門にしているので、いろいろな企業とお付き合いしているが、最近、オンライン会議ツール「Zoom」の操作を学生にアルバイトでやらせたいのだがどうだろう、という相談があった。中原ゼミには、人材開発・組織開発を学びたい学生が集まっている。
2回目の緊急事態宣言が出てから、まもなく1カ月。一定の効果は出つつあるものの、感染力の高い変異種の市中感染も疑われる状況になって、再び感染者数が急増することも懸念されている。2月と3月は特に厳しい状況が続きそうだし、ただちにワクチンによって集団免疫が獲得されることは期待できない。長い場合には、あと1年以上はこういう状況が続くかもしれない。
人事や人材開発の研究者として、企業の人事システムの変化をウオッチしているが、いま、雇用制度の根幹が大きく変わろうとしている。「メンバーシップ型雇用」から「ジョブ型雇用」への転換である。端的にいえば「あなたに、今、何ができるか」によって採用・雇用が決まる社会への転換ということである。
コロナ禍は感染拡大の「第3波」が到来し、ますます先の見通せない状況に陥っている。こういう不確実な状況に置かれたときに、課題となるのはリーダーシップだ。事態にうまく対応して、企業で言えば成果を挙げる、学校で言えば学びを止めずにアップデートできる。その成否は、ほとんど人と組織の問題にかかってくる。
小中学生に学習用者端末を1人1台使えるようにするGIGAスクール構想が進んでいる。今年度中に全ての子供たちに行き渡るかどうかは分からないが、教育現場は、新しいテクノロジーを前提に、教え方に関する知識を蓄え、体験を積んで、スキルを高めなければならない。この大変化について「2020年はTPCK元年だった」と後々言われるようになるかもしれない。
コロナウイルスに対する世の中の関心が緩んできた。小康状態が続いているからだが、立教大学の私の研究室では、春の臨時休校時に子供や保護者に何が起こったのか、ウィズコロナ時代の教育現場に必要なものは何か、といったことについて「危機感」をもって調査研究を進めている。秋・冬以降のインフルエンザ拡大と併せて、コロナウイルスの感染拡大が再び始まることを見据えているからだ。
私たちはどういう時代を生きているのか。コロナ禍の中で、時代認識が問われている。まずコロナ対策は、「短距離走」ではなく「長距離走」になることを覚悟すべきである。
コロナウイルスは、人と人との接触によって感染を広げるので、対策としては、接触をなるべく減らすしかない。学校という集団生活の中では、それはとても困難なことだ。特に、しゃべってはいけないというのは厳しい。コミュニケーションを取れず、クラスメート同士で仲良くなることや、信頼関係を築くことさえ、難しくなってしまう。
都内でも、教員のコロナ感染者が出始めている。教職員や児童生徒に感染者が出れば、学年や学校が休校となる。学校再開で通常ペースに戻りつつある学校も多いが、今はまだ平時ではなく「Withコロナ」であることを忘れてはいけない。いつ学校が再び休校に陥るのか分からない状況が続いているのだ。そしてそれは年単位でしばらく続く。
世の中全体で「働き方改革」が叫ばれ続けている中、昨年は教育業界の中でも、教員の働き方改革についてさまざまな議論が起こった1年であった。学校という職場の働き方改革が、教員という職の採用力回復につなげていけるだろうか。2020年の教員の働き方改革について、ポイントを考えてみた。
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