〈そっちには行かせられない〉〈放射能あぶないじゃない〉。福島県相馬市の県立相馬高校の生徒が震災の3年後に制作した映像作品『これから。』は、福島第一原発の事故が引き起こした分断がテーマだった。疎外感、悔しさ、もどかしさ……被ばくの不安とともに生きる高校生の視点が、人々を隔てる「見えない壁」を浮き彫りにしていた。自分たちを置き去りにする社会に向かって声を上げた生徒たち。
あの日、無人地帯が生まれた。メルトダウンした福島第一原発から半径20キロ圏の警戒区域と放射線量の高い計画的避難区域。そして緊急時避難準備区域。福島県南相馬市でも暮らしの場が分断された。県立原町高校は一時、他の高校の敷地に移転した。そこに赴任した美術教諭、朝倉裕一朗さんは、生徒たちに自分の言葉を添えた自画像を描かせて、地元の人たちに発信するという活動を続けてきた。
東日本大震災による津波で、宮城県石巻市の大川小学校(当時の児童数108人)では児童74人と教職員10人が犠牲になった。6年生だった次女のみずほさんを亡くした佐藤敏郎さん(57)は当時、隣接する女川町の中学校教師だった。学校管理下で起きた惨事に、遺族であり教員でもある立場から向き合い続け、現在は「小さな命の意味を考える会」の代表として、あの日起きたことを問い直し、語り継ぎ、未来につなぐために活動している。
ネット上にゆがんだ性情報があふれているのに、学習指導要領に歯止め規定があるせいで、多くの若者が十分な性教育を受けられていない。そんな状況に危機感を抱いた産婦人科医の高橋幸子さんがこのほど、小学生向けの性教育の本『サッコ先生と!からだこころ研究所』(リトルモア)を刊行した。子供たちにうまく教えるには「幼いうちから」「科学的に」がコツだという。
見えない世界や聞こえない世界を体験するダイアログ・ミュージアム「対話の森」(東京都港区海岸)を運営する(一社)ダイアローグ ・ジャパン・ソサエティの代表理事、志村季世恵さんは長年、セラピストとしてさまざまな人々と接してきた。「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」(DID)と出会って、日本での普及に力を入れるようになったのは「90分の奇跡」を目の当たりにしたからだという。(全3回の最終回)
ダイアログ・ミュージアム「対話の森」(東京都港区海岸)には、3つのアトラクションがある。視覚障害者がアテンドする「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」(現在はコロナ対策でダイアログ・イン・ザ・ライトとして開催)、音が聞こえない世界を体験する「ダイアログ・イン・サイレンス」、そして高齢者と一緒に楽しむ「ダイアログ・ウィズ・タイム」だ。
マスクで隠れる表情、給食は黙って、体を近づける遊びや、握手も不可…。コロナ禍によって子供たちの日常生活も大きく変わっている。でも、どんな制約があってもコミュニケーションは可能だ。
臨時休校期間にオンライン授業に取り組んで小学生の受講者を倍増させた「探究学舎」の宝槻泰伸代表は、進学塾などでもオンライン化は不可避だと予測する。加えて目指しているのは「勉強」から「探究」へ学びをシフトさせること。第2回は、成績アップも合格も目指さない塾という異色のスタンスについて聞いた。(全3回)
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