宮崎公立大学准教授
ジェンダーの「課題」は多様で、そもそも「課題」と共通認識することすら簡単ではなく、「先生の人生」も考慮しなければなりません。読者の中には再び、「じゃあどうすればいいの?」と思われた方もいるでしょう。最終回は、三つの提案で締めくくりたいと思います。
今回は、ジェンダーの課題を「課題」として共通認識することの難しさを説明します。 この連載を読んだ先生であれば、学校で用いられる「性別」情報の多さを認識するかもしれません。一方で、ジェンダーに全く関心のない先生からすれば「性別」情報は「自然」であり、何とも思わないかもしれません。
現代社会には、数多くの教育課題が存在しています。おそらく先生に対する期待が大きいのでしょうが、あらゆる課題で「先生(学校教育)に頼ること」が強調されています。そんな時、私は「先生も一人の人間であり、その人の人生があることを忘れているのではないか」と思うことがあります。
前回紹介したジェンダー教育実践は、誰でも取り組めるという点で「パッケージ化」されていると言えます。ジェンダー教育実践に限らず、さまざまなテーマについて教材集や実践事例などがまとめられていますが、これらもパッケージ化されたものと言えるでしょう。
本連載ではこれまで、学校にはさまざまなジェンダーの課題が存在することを指摘してきました。読者の中には、「じゃあどうすればいいの?」と思われた方もいるかもしれません。拙著『〈教師の人生〉と向き合うジェンダー教育実践』では、ジェンダーの課題を改善していく取り組みを「ジェンダー教育実践」と呼んでいます。
大学の講義でジェンダーを扱うと、「性的マイノリティー」、いわゆる「LGBT」当事者についてのコメントが多くの学生から寄せられます。「ジェンダーへ配慮する=LGBTへ配慮する」ではないのですが、イコールで考えてしまっている学生が少なくありません。
「性別」を考える際、よく持ち出されるものが「体力に男女差がある」という話です。ここでは2019(令和元)年度の「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」(「体力テスト」)の結果を基に考えていきます。
理数系科目の得意・不得意に「性別」は関係するのでしょうか。実は国内外の学力調査では、「理系科目の成績は女子より男子の方が良い」と普遍的に言える結果がありません。ですが、先生や保護者は「男子の方が得意」というステレオタイプを持っています。
赤ちゃんを見掛けたとき、「性別はどちらですか?」と尋ねた(尋ねられた)経験はあるでしょうか。そして、なぜ「性別」を尋ねるのでしょうか。
突然ですが、読者の皆さんが学校で使用した「コンパス」は何色でしたか?約30年前、私はコンパスを購入する時、なぜか赤と黒の2色の選択肢しかなく、赤色が好きだったので「赤いコンパス」を購入しました。するとクラスメートから「寺町、なんで赤色なん?」「お姉ちゃんのお下がり?」と次々に質問されました。
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