横浜市立日枝小学校 学校事務
本連載では、環境を変えることで、教職員の働き方が自然と変わっていく実践について記してきました。教職員一人一人の自己変容を促す風土づくりとも言えます。ただ、その前に大切にすべきことがあります。それは、教職員それぞれの「ありたい姿」です。そもそも、なぜ学校に勤めることを選んだのか、どのような教職員でありたいのか、何を大切にして働きたいのか。
横浜市立日枝小学校には、今年度から「研究デザイン部」が設置されています。この組織は、コーディネーターの教員が中心となって、生活科・総合的な学習の時間に関する研究推進委員会、ICT推進委員会、特別支援SDGs推進委員会、メンターチームの4組織のリーダーと共に、それぞれの取り組みを有機的に紡いで、学校経営に生かしていこうという目的の下に設置されました。私は、その部のファシリテーター役を務めています。
学校で仕事をしていると、教職員のパワーのすごさを感じることの連続です。子どもたちと共に学び、共に成長していく姿。教職員で一致団結して行事をつくり上げていく姿。例を挙げれば切りがありません。それ故に、いろいろな仕事を抱え過ぎて、多忙になっています。
横浜市立富士見台小学校の職員室には、一般的な職員室とは異なる点があります。それは職員室中央に共有机があること、グループウェア画面が表示された大きなTVモニターがあること、教職員机が大型テーブルになっていることなどです。その他にも、見ただけでは分かりにくい仕掛けがあります。
拙著『教師の生産性を劇的に上げる職員室リノベーション 32のアイデア』の中には、幾つかワークショップのようなアイデアを掲載しています。
教職員のチーム力向上には、情報共有体制の強化が必須です。よくある情報共有方法は、口頭口伝、プリント配布、相手の机に付箋メモを貼るといったものだと思います。書き出すときりがありませんが、こういった情報共有でよく起こるのが、「聞いてない」「知らなかった」「〇〇さんが言っていたのと違う」などです。
「ここの丸テーブルにいる方には、話し掛けていいんだと思って、話し掛けています。」 誰もが使える小さな丸テーブルについての教職員の言葉です。忙しい毎日、話したいことがあっても、自席で仕事をする教職員には話し掛けにくいものです。その結果、話し相手は仕事上の接点がある人や気の合う人に偏りがちです。実にもったいない状態だと思います。
職員室改革を進める際の対話の場で、参加者から次々とアイデアが生まれたらワクワクします。でも、アイデアが出ずに「しーん」となったときの恐怖たるや、言葉にできません。それが怖くて、自分のアイデアだけを話して、参加者に承認を強いるようになると、心理的安全性が下がり、会議への参加がつらくなっていくなど負のスパイラルに陥ります。
「職員室って何のためにあるのでしょうか?」 こういった問いを立ててから職員室改革を始めてはいかがでしょうか。どこの学校にも、当たり前にある職員室。当たり前過ぎて、こういったことを考える機会はあまりないことでしょう。だからこそ、一度立ち止まって、教職員で意見を出し合うとよいと思います。
初めまして。横浜市立日枝小学校の学校事務職員・上部充敬です。10回の連載を通して、今年6月に発刊した『教師の生産性を劇的に上げる職員室リノベーション32のアイデア』の内容と、そこで書き切れなかったことに触れていきたいと思います。
広告ブロック機能を検知しました。
このサイトを利用するには、広告ブロック機能(ブラウザの機能拡張等)を無効にしてページを再読み込みしてください