不登校が日本社会で話題になって以来、60年以上の歳月が流れた。その間、不登校の呼称は「学校恐怖症」「登校拒否」、そして「不登校」へと変遷を遂げてきた。数の増加とともに、中身もどんどんと質的多様化を極め、不登校に至る要因もさまざまである。
不登校そのものの多様化が進む中、それまでの不登校に対する捉え方を大きく転換したのが、2016年に公布された「教育機会確保法」である。この法により、不登校はどの児童生徒にも起こり得るものとして捉え、不登校というだけで問題行動であると受け取られないよう配慮すること、当該児童生徒の意思を十分に尊重しつつ対応することとされ、不登校の児童生徒や保護者を追い詰めることのないよう配慮するという点が前面に出されることになった。
第1回で紹介した文部科学省の「令和2年度不登校児童生徒の実態調査」で、「最初に(学校に)行きづらいと感じ始めたきっかけ」を尋ねたところ、小学生で25.5%、中学生でも22.9%の子どもたちが「きっかけが何か自分でもよく分からない」と回答している。実際に、スクールカウンセラーとして不登校の子どもたちと面談していても、自分が学校に行けない理由をはっきり言葉にしてくれるケースは決して多くはない。
今回から10回シリーズで不登校のことをまとめる機会をいただいた。不登校をどう捉え、どのように支援していけばよいか、いろいろな角度から考えていきたい。初回は、なぜ不登校になるのか、不登校のきっかけについて考えてみたい。これについては、文部科学省が毎年行っている「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の一部として、学校に対して問い掛けている。
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