前回、「心理的事実」と「客観的事実」を明確に区別した上で、「心理的事実」については積極的に謝罪し、「客観的事実」については慎重に扱うことの重要性を伝えた。今回はそのスキルを読者の皆さんに授けることを目指して、具体的な事例を挙げながら解説していく。
前回まで、保護者と「子育てのパートナーシップ」を強固にしていくための教師のマインドセットを4つ紹介した。いわゆる「保護者対応」と呼ばれるのは、何か起こってからの教師の立ち居振る舞いや話の進め方のハウツーに終始することが多いように思う。
前回、前々回と、「困った親ではなく、困っている親」というマインドセットを持つことの大切さについて述べた。とはいえ、保護者から怒りの感情をむき出しにされたり、攻撃的な言葉をぶつけられたりする場面は、やはり学校としては「ピンチ」の到来と身構えてしまうのもよく分かる。
人は、外から見ると順風満帆に見えるものだ。しかし、決してそんなことはない。子育てには正解はない。今は情報が溢れているので、ネットで検索すればすぐに「反抗期の子どもとの接し方5選」など、知りたかった情報がヒットする。
「困った親はいない」なんて言ってしまうと、「あなたはまだ、本当にとんでもない親と出会ったことがないのだ」と言われてしまいそうだ。しかし、公立小学校で20年も担任を続けてきて、そんなことがあるだろうか。
前回、「不安を信頼に変える」マインドセットの第一に、保護者は「子育てのパートナー」であるということを述べた。考えてみれば至極当たり前のことである。しかし、なぜこのことを忘れがちなのだろうか。
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