私の経験から言っても、他の教員の成長を見るにつけても、教員の育成において指導する者が先に立って引っ張っていくという方法はふさわしくないように思う。それよりむしろ、それぞれの教員の中にある内発的な力を刺激することによって、成長を促していく方が適しているのではないか。教育界の人には、ルソーの「消極教育」と言えば分かりやすいかもしれない。
民間企業を対象とした経営書を読むと、よく「人材育成は管理職の一番大切な仕事である」と書かれている。学校でも民間企業と同様に、人材育成は大切である。しかし、管理職に育ててもらった記憶はあまりない。
前回、褒めることによって生徒が驚くほど伸びたという話をしたが、教員はどうなのだろう。 近年の教育改革の中で、生徒や校長による評価からの圧迫感、事務処理業務の増大などによる多忙感が増し、やや自信喪失気味の教員が多いように思えた。
私は40歳から55歳までの15年間教育行政機関にいた。その間、学校には仕事でよく出向いたものの、生徒たちと親しく交わることはなかった。15年ぶりに学校現場に戻り、最初に持った感想は「生徒たちがおとなしくなったなぁ」だった。
「夢を持つ大切さ」とはいかにも学校向きのタイトルで恐縮だが、学校に限らず組織を経営する場合には、夢や理想を持ち、それを機会あるごとにメンバーに示すのはとても大切だと思う。私の理想とする校長像は、日ごろはあまり指示を出さずに、教員たちの活動を寡黙に見守っているタイプ。時々夢のような話をする。
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