東日本大震災発生直後の2011年4月、訪日したグリアOECD事務総長(当時)の震災復興への協力の約束を契機として、翌年3月、福島大学、日本政府、OECDが連携した復興教育プロジェクト「OECD東北スクール」が誕生しました。被災地の中高生が集まり、「2014年夏に、パリで東北の魅力を世界にアピールするイベントを実施する」との目標の下、生徒が資金調達を含む国際的なイベントの企画・立案・実施を行うプロジェクト学習です。
前回まで、OECDの田熊美保シニア政策アナリストから「OECD未来の教育とスキル2030」(以下、E2030)プロジェクト誕生の背景などについて紹介がありました。教育政策とOECDの関わりとしては、15歳時点の学習到達度を測定しているPISA(生徒の学習到達度調査)は、加盟国以外にも多くの参加国を集め、各国の教育政策に大きな影響を与えている国際調査として著名です。しかし、そもそもなぜOECDが教育の調査をするのか、疑問に思われている方もいるかもしれません。
日本の教育関係者の方から、「OECDの分析や提言は、アングロサクソン(英国や米国)の理論を基にした分析でしょう」と言われることが、よくあります。しかし、「OECD未来の教育とスキル2030」(以下、E2030)は、英国や米国以外のOECD加盟国と途上国を含むパートナー国が、広く経験・知見を持ち寄り、より良い未来を創るための教育ビジョンを共創しているプロジェクトです。その中で、日本は、E2030誕生の国際議論に寄与した点で、大きな役割を担っています。
OECD(経済協力開発機構)と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。この問い掛けに、多くの場合、「経済」「統計・指標」「政策提言」「国際合意形成」といった答えが返ってきます。教育関係者の方であれば、主に「PISA(生徒の学習到達度調査)」という返答です。しかし今回は、少し異なるプロジェクトをご紹介したいと思います。「OECD未来の教育とスキル2030」(以下、E2030)です。
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