北見市立西小学校は、全校児童310人で、児童玄関を入ると、2階に吹き抜けが広がり、明るい日差しがたくさん入り込む。学校図書館はそんな吹き抜けの2階にあり、子どもたちからは「図書コーナー」として親しまれている。通りがかりに本を手に取り、展示を見るなどよく利用されている。
それが、コロナ禍に入ってきた1人1台の端末の導入で、子どもたちはさまざまな情報を得ることができるようになり、なかなか学校図書館に足が向かなくなったように感じられた。そこで本校では、端末と学校図書館をどのように結び付けていくのかを考えてきた。ICTと学校図書館は別物ではなく、さまざまな資料や情報を得るものとして、同じであることを伝えたかったからである。今回は、ICTとコラボした取り組みを紹介する。
4月から5月にかけて、学校図書館の利用の仕方について指導している。その際使用する、学校図書館での「本のかりかた、かえしかた」という動画を作成した。ねらいは、司書教諭または学校司書が利用指導に参加できなくても同じ内容のことを指導できるようにすることである。おかげで、昨年度(2023年度)は、学年の都合のよい時間に利用指導の時間を組むことができた。
また、3・4年生では、国語の単元の中に「分類について」の学習がある。そこで、「分類のしかた」の動画も作成し、活用してもらった。
実際に授業で取り扱えなかった学年にも、各クラスのグーグルクラスルームに動画を送り、各自の都合の良い期間で、見てもらうこともできた。
現在、小学校の授業では読書感想文の指導時間がない。そこで、夏休み中に読書感想文に取り組む児童のために、また、読書感想文をどのように進めてよいか分からない教員のために、読書感想文の動画を作成した。
学年によっては、グーグルクラスルームに送り、夏休み中にも見ることができるようにしてくれた。見たいときに見て活用してもらえた。
夏・冬休みに読む図書を借りる前に、各学年に向けたおすすめの本を紹介している。今までは、図書のコーナーにポップを貼ることでしか紹介していなかった。それが、動画にすることで、紹介した本が、いち早く借りられるようになった。
動画は、長くならないように2分程度で作成した。また、いつでも見てもらえるように、グーグルクラスルームに送っていた。各学年には、対象学年のものしか送っていなかったが、「ほかの学年の紹介の本も見てみたい」という要望をいただいた。そこで共有のドライブにフォルダを作っておき、先生方が、どの学年の動画も見られるようにしたところ、思いのほか好評であった。作った動画は消さないで、アーカイブしておき、いつでも見られるようにしている。
先ほどから、幾度となく出てきたグーグルクラスルーム。子どもたちが使っている1人1台の端末にはグーグル・フォー・エデュケーションが入っていて、その中で使用しているツールである。
このグーグルクラスルームに、司書教諭を招待してもらい、学校図書館の利用の仕方やおすすめの本の動画、お便りを不定期に載せている。特に図書館便りは、今まで白黒印刷していたのに対し、フルカラーで配信できるようになった。
年度末に行った児童への学校図書館アンケートでは、かなりの子が送った動画やお便りは読んでくれているとの結果が出ており好評である。
このように、子どものパソコンにこちらから発信することで、今までより学校図書館を身近に感じてもらえていると実感している。
今までは、こちらからグーグルクラスルームへ発信することが中心であった。今後は、グーグル・フォー・エデュケーション内の共有ドライブに、調べ学習で使える本のリストやリンクを貼り付けて、子どもたちが主体的に検索できるもの、まさに、パスファインダーの電子版を提供したいと考えている。
冒頭にも述べたように、ICTと学校図書館を別物に扱うのではなく、連携して、子どもたちに必要な資料や情報を提供できる環境にしていきたいと思っている。
(北海道北見市立西小学校司書教諭・添田佐奈枝)