東京学芸大学附属国際中等教育学校副校長
米国での任期を無事に終え、日本に帰国してしばらくたったある日、学校から帰ってきた娘が妙なことを言った。 「先生の褒め方が違う」 3年間を米国の現地校で過ごした娘は、もう小学6年生になっていた。
日本の教師は「世界で一番忙しい」と言われて久しい。私たちは授業や会議、部活動、家庭連絡と、さながら便利屋のようだ。外国の教師はどうなのか。米国で暮らした3年間、私は仕事の合間を縫って幼稚園から高校、大学まで、現地の学校を見て回った。
私が2011年から3年間派遣されていたワシントン日本語学校は、在外教育施設の補習授業校という分類で、全日制の日本人学校と違い土曜日だけ開校する。現在、世界52カ国と1地域にある補習授業校205校のうち、1958年に設置されたこの学校は最も古い歴史を持つ。日本大使館内の一室で、教員2人と児童29人から始まったそうだが、現在は幼稚部から高等部まで、児童生徒数が730人を超える大規模校になった。
2011年4月6日、私は家族と共に米国の首都、ワシントンDCに向かう飛行機内にいた。赴任先は補習授業校だという。 日本の英語教師が、本場・米国で何の役に立てるというのか。補習授業校は週に一度だというが、他の日は何をすればよいのか。さまざまな疑問と不安が繰り返し浮かんでは消えた。
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