教育新聞論説委員
2月15日の文科省の発表によると、2020年に自殺した児童生徒(小・中学生および高校生)の数が昨年と比べ4割増となり、過去最多の数(479人)になったという。特に女子高校生は138人おり前年の倍近い数字となっている。20年はコロナ禍の影響で新学期となった6月や短縮した夏休み明けの8月での自殺者がいずれも前年比の倍近くとなっている。
4月から中学校も新学習指導要領のもと、新しい教育課程による教育活動が始まる。「社会に開かれた教育課程」「カリキュラム・マネジメント」「主体的・対話的で深い学び」など、社会と学校の緊密な連携を前提に子供たちの汎用(はんよう)的能力の育成を目指した教育の開始である。それに先立ち、1月26日に中教審は「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して(答申)」を発表した。
昨年末、今年は暗いニュースばかりであったと暗たんたる気持ちであったが、昨年12月17日、萩生田光一文科相の口から小学校の全学年が2021年度から5カ年計画で35人学級となることが発表された。まずは安堵である。
来年度から使用される中学校の教科書採択は各自治体でほぼ終了し、教科書会社や関係の出版社は補助教材やその関係資料の作成に追われている時期である。その中で、学校や教育委員会が注目する分野がある。教科書を含めたデジタル教材である。
文科省は先月22日、2019年度の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」結果を公表した。今回注目すべきは「暴力行為」である。小学校が発生件数・加害者数共に中学校を抜き過去最高の数字となった。暴力行為の発生件数は、小学校が4万3614件で昨年度に比べ約7000件の増加である。中学校は2万8518件で昨年度に比べ約800件の減少である。
文化庁が実施する「令和元年度 国語に関する世論調査」の結果が公表された。それによると、「国語が乱れていると思うか」との質問に「乱れていない」と答えた人の割合が30.2%と、過去5回の結果の中で最高の数字であるとともに、1999年度(10.3%)との比較で見ると3倍も増加している。今後、わが国のグローバル化が進む状況の中で、この結果を教師としてどう捉えたらよいのであろうか。
先月28日、安倍晋三首相が辞任を表明した。第1次政権時代を含めると8年余に及ぶ政権運営に対する評価は、本人も会見で述べていたが、ある程度の時間を経過したのち下されるであろう。
最近の教員によるわいせつ行為などの増加状況を受け、萩生田光一文科相が、懲戒免職処分を受けても3年が経過すれば免許状を再取得できる現行の教育職員免許法を改正する準備を進めていると、衆議院文部科学委員会で述べた、と7月22日付本紙電子版で報道された。
リキュラム・マネジメント面での問題</strong></h5>新型コロナウイルス感染拡大による長期間の学校休業に伴い、文科省は子供たちの学習保障に関する方向性を示した通知文を5月15日に各都道府県教育委員会宛てに発出した。その結果、各学校では学校再開後の今年度および来年度以降の教育課程の再編成に取り掛かっている。
昨年6月に続き、OECD(経済協力開発機構)による国際教員指導環境調査(TALIS)の2018年調査の(第2次)が3月23日に公表された。本紙でも3月30日号において詳細が報道されている。
厚労省の発表によると、2018年度に全国の児童相談所(児相)で対応した児童虐待相談件数は約16万件と、過去最多を更新した。虐待相談の内容別にみると、「心理的虐待」が最も多く(55.3%)、次いで「身体的虐待」(25.2%)、「ネグレクト」(18.4%)、「性的虐待」(1.1%)と続く。
OECD(経済協力開発機構)が『図表で見る教育2019年版』を発表したと本紙の9月10日号(電子版)で取り上げていた。この教育データは毎年公表されており、初等教育から高等教育の教育機関に対する公的支出の対GNP比が、日本は3年連続でOECD加盟国中最下位であること、言い換えれば家庭の教育費支出負担が重いということが話題となっている。
新しい年度となり子供たち一人一人の新しい学校生活が始まった。保護者の中には自分の子供が新しい環境に慣れることができるだろうか、友達はできるのだろうか、不登校になるのではないかといった不安を抱きながら新年度を迎えた人も少なくないだろう。
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