労働ジャーナリスト・職場のハラスメント研究所所長
相手のためを思ってする指導・教育、俗にいう「熱血指導」については、「多少の行き過ぎは認められる」という理解がなされてきました。「俺も言いたくはないが、お前のためを思って厳しく言うんだ」という考え方です。
俗に「歩くパワハラ」と呼ばれている人がいます。こうした人たちは、一般的に仕事の経験が豊富で、それなりの立場にあることが多く、部下たちは苦情も言えずに悩まされています。窓口に苦情が寄せられたとしても、「報復が怖いので名前は出さないでほしい」というような匿名の訴えになりがちです。
パワハラは、ちょっとしたコミュニケーションの行き違いや人間関係のこじれなどから起きるので注意が必要です。パワハラ行為者が、パワハラを問われた場合の言い分として次のようなものがあります。
パワーハラスメントは、相手を怒らせたり、不快にさせたりしていることが原因で起こります。パワハラを受けないためには、自分自身の仕事に対する取り組み姿勢や、日頃の言動を振り返ることも必要です。
近年は、学校運営や生徒指導を巡る問題について保護者から苦情が寄せられ、学校がさまざまな対応を求められる場面が増えてきました。そうした苦情がまっとうなものである場合は検討に値しますが、いわゆる「クレーム」と言われる理不尽なものも多く、その対応には悩ましさがつきまといます。
学校のパワハラ対策を進めるに当たって頭の痛いことは、行為者とされる人たちの多くが学校教育に貢献し、業績を残してきた人たちであることです。こうした人たちの指導は、いわゆる「熱血指導」と言われ、これまでは部下指導に高い評価を受けてきました。
研修の場などでも、相変わらず「うっかり厳しく叱るとパワハラと言われそうで厳しい指導ができない」とか「何をしたらパワハラになるんですか?やっては駄目なことは何なんですか?」とかいう質問が繰り返されています。
先生方から「あまりパワハラ研修などをやられると生徒指導が難しくなる」という苦情をよく聞きます。一方で、教員や生徒からのパワハラの苦情も絶えず、学校の取り組みにも戸惑いがうかがわれます。
パワハラ防止法で「パワーハラスメントとは何か」については、「職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を満たすものをいう」と定義されています。
2019年5月29日、職場でのパワーハラスメント(以下「パワハラ」)の防止に向けた、いわゆるパワハラ防止法(労働施策総合推進法の改正、以下「改正法」)が成立しました。
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