パワハラは、ちょっとしたコミュニケーションの行き違いや人間関係のこじれなどから起きるので注意が必要です。パワハラ行為者が、パワハラを問われた場合の言い分として次のようなものがあります。
(1)イライラしていたので、つい…
①何回注意しても直さない
②身勝手な言い訳が許せない
③反抗的な姿勢が許せない
(2)そんなつもりではなかった
①つい、口調がきつくなってしまった
②感情的になってしまった
こうした主張を聞いていると、悪意からというより、「コミュニケーション・ギャップ」によって起きていることが分かります。しかし、悪意がなかったにせよ、パワハラと言われる行き過ぎた叱責(しっせき)や指導は、相手に精神的なダメージを与えます。時には、メンタル不全を引き起こしたり、職場に来られなくなってしまったりといった状況に追い込むこともあるので、注意が必要です。
(1)叱責は適切なタイミングで
軽度なミスを何時間にもわたって注意する、あるいは過去のことを持ち出して繰り返し叱責するなどの行為は問題です。ミスの指摘は、部下の性格も考慮した上で、適切なタイミングで簡潔に行いましょう。
(2)行為は叱っても、人格は否定しない
相手の間違った行為は注意しても、「性格の問題」「育ちが悪い」などと人格を否定するような発言は問題です。相手に「なぜ、そこまで言われなければならないのか」という反発を生んでしまい、注意されたことを受け入れる気持ちをそいでしまいます。
(3)三つ褒めて、一つ叱る
何時も叱るばかりでは、「またか・・・」と受け止める側が思い、指導の効果は薄れていきます。時には褒め、時には叱る。そうしたメリハリがあることで、指導の効果は増します。叱られても「今度は褒めてもらおう」という気持ちになれるからです。
三つ褒めて一つ叱るくらいのあんばいを心掛けることで、叱責の効果は高まります。
持つべき心構えをマニュアル的に整理すると、次のようになります。
①注意指導したいのか問題点は何なのかを明確にする
→ 曖昧な表現は避け、何が問題なのかをはっきりと伝える
②問題改善に向けて何をすればよいのかをはっきりさせる
→ 改善すべきポイントを明確に示す
③どのように伝えれば相手が理解できるのかを考える
→ どのような言葉で伝えたら相手に伝わるかを考え、効果的な伝え方をする