どんぐり発達クリニック、ギフテッド研究所理事長
ギフテッドや2Eの子供はさまざまな分野に興味を持ち、深い理解と追究を重ねている。しかし、自閉症スペクトラムと異なり、いつまでも特定の関心事に執着しているわけではない。追究していくうちに、最先端のことを知りたくなる。彼らの才能を伸ばすために、ポイントとなるのがこの「移り気」である。
2Eの子供への教育は、個人の障害と才能の特性に応じて学習内容や方法を個別化・個性化することで成り立つ。通級指導教室などでの個別指導、通常学級で展開されるユニバーサルデザインに基づく授業など、日本の特別支援教育で行われている実践のいくつかは、2Eへの教育方法と重なる部分も多い。
多くの母親は、自分の思うようにスムーズに進行していく日常生活を理想としている。そんな母親の気持ちに共感しながら行動できれば完璧なのだろうが、子供にとってこれほど難しいことはない。自分本位で衝動的、こだわりが強く感覚過敏があり、興味のあることしか行わないギフテッドの子供であればなおさらである。母親にとってギフテッド、あるいは2Eの子供たちは、極論すると最も相性の悪い子供である。
一般的にギフテッドは、同年の人間よりも早く(速く)、深く、広く学ぶ傾向にある。幼いうちから言葉を発したり文字を読んだり、年上の子供と同レベルで学習することもある。高い論証能力、独創性、好奇心、想像力、洞察力、芸術性、共感的理解、豊富な語彙(ごい)、ずば抜けた記憶力など、優れた能力を持っている場合が多いが、全てのギフテッドがそうであるわけではない。
私たちのクリニックでは、多くのギフテッドや2Eの子供たちを診察し、彼らが過ごしやすい環境づくりや社会性を身に付けるための方策を考えている。今回は、彼らが学校教育の中でどのような困難やニーズを持っているのか、調査結果を基に示したい。 5歳から15歳までの2E(IQ130以上で発達障害のある人)の子供23人(男子14人、女子9人)に対し、学校での不適応の実態について調査した。併
ギフテッドは、具体的にどのような子供なのだろうか。実際にクリニックに来ている、ある小学生のギフテッドを例に挙げよう。 学校では「勝ち負けのこだわりが強く、短距離走で負けると怒って大声で叫ぶ」「声の大きさを制御するのが困難で、いつも大声で話しがち」「我慢することが苦手で、授業中に挙手して教師に当てられないと泣いてしまう」といった様子がみられる。
Sくんは、4歳で平仮名、カタカナ、漢字が読めるようになり、興味を持った宇宙や恐竜について図鑑やインターネットで学び始めた。恐竜の名前を全て記憶しているだけでなく、惑星間の距離までも知っている。3歳のTくんは、韓国の旅客船が沈没した事故について、船がなぜ、どのように沈んだのか、どうしたら防げたのか、母に議論を持ち掛けている。
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