一般的に、ギフテッドの人たちは、同年代の人たちよりも早く(速く)、深く、広く学ぶ傾向にある。本人は幼いうちから、話したり文字を読んだり、年上の子供と同レベルで学習することもある。
高い論証能力、独創性、好奇心、想像力、洞察力、芸術性、共感的理解、豊富な語彙(ごい)、ずば抜けた記憶力など、優れた能力を持っている場合が多いが、全てのギフテッドにそれらの力が備わっているかといえば、当てはまらないケースもある。
そして、わずかの反復学習で全体の概念を修得できるが、完全主義に陥る傾向もある。
ポーランドの精神科医、カジミェシュ・ドンブロフスキは、1960年代にギフテッドの人について「積極的な分離」という人格形成理論を主張した。その理論の中核は「刺激に対する並ならない反応(OE Overexcitabilities: 過度激動)」、すなわち、神経の感受性が増すことによって通常の人間よりも刺激を生理的に強く経験する性質である。ドンブロフスキは、落ち着きのなさ、感覚過敏、創造性、知的機能、感情性、トラウマなどの過敏反応などについて取り上げている。これらの特徴は、精神医学的観点からは、発達障害、精神障害的要素として理解されることがある。
こうした特徴を持つ子供たちに、「学校」はどのように映るのか。
彼らが学校の授業に出ると、興味が湧かない、興味のあること以外はやりたがらないということがほとんどだ。本人にとって意味の見出せない暗唱や機械的な丸暗記を嫌がったり、苦手であったり、課題に集中できなかったり白昼夢していたりする。したがって、一般的な学校の勉強の成績は芳しくないことが多い。
また、クラスの同級生らをはじめ、周りとうまく合わせることができない。その結果、学校で問題児扱いされたり、逆に、繊細さや感受性の豊かさが影響して、過度に周囲に同化しようとするあまり、意図的に能力以下の成績を修めたり、ギフテッドの特異な才能を隠そうとしたりするケースも少なからずある。
このように、ギフテッドの子供たちは、一般的な学校教育の下では優れた成績や才能を発揮できず、学校がその才能をフォローすることは難しいと考えられる。
そのため、欧米ではギフテッドの子供に合わせて、それぞれの才能を伸ばす英才教育が行なわれている。次回は、ギフテッドの子供に対して、教師をはじめとする大人がどのように接していけばいいのかをみていきたい。