教育界のキーパーソンに「ウェルビーイングとは何か」を聞くシリーズの第2回は、熊本市の遠藤洋路教育長にインタビューした。昨年、同市教委は「ウェルビーイングを実現するための教育」をテーマにしたオンラインイベント「Kumamoto Education Week」を行うなど、市全体で主体性を高める学校改革を進めている。
政府の来年度予算の編成方針となる「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太の方針)や成長戦略実行計画の原案が公表されたことを受けて、自民党文科部会(部会長・赤池誠章参院議員)の会合が6月10日、開かれ、内容を巡って意見が交わされた。
茨城県つくば市は6月9日、市内にある県立並木中等教育学校で来月行われる生徒会選挙の一部で、インターネット投票を実施すると発表した。将来的に公職選挙でのインターネット投票の導入を目指す同市が、若年層の政治参加を促そうと学校と協力して実施するもので、投票の秘密などを保証する本格的なシステムで生徒会のインターネット選挙が行われるのは全国初ではないかという。
環境やサスティナビリティについて、手を動かし、つくりながら学ぶ――。東京都中野区の新渡戸文化小学校(杉本竜之校長、児童363人)で6月7日、廃棄物となって出されたさまざまなマテリアルから新たなものを生み出すプロジェクト型学習がスタートした。4年生を対象にしたこのプロジェクト型学習は、同校の図工を担当する山内佑輔教諭が発案。
文科省は6月9日、大学で新型コロナワクチンの接種を行う場合の申請手順などについて、国公私立大学法人などに事務連絡を出した。政府が8日に大学や職場でのワクチン接種の申請を受け付ける専用のウェブ入力フォームを開設したことを受け、大学で実施する場合は文科省の検討チームに事前に相談すること、自大学の教職員・学生だけでなく近隣の教育関係職員などにも対象を拡大することなどを求めた。
政府は6月9日、経済財政諮問会議(議長・菅義偉首相)を首相官邸で開き、来年度予算の編成方針となる「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太の方針)の原案を提示した。教育関連では、「こども庁」創設を求める自民党の決議などを踏まえ、「子供に関するさまざまな課題に総合的に対応する」として、新たな行政組織の創設を明記した。
今、新たなキーワードとして注目されている「ウェルビーイング」とは、一体何か――。政府の教育再生実行会議が6月3日にまとめた提言においても、ニューノーマルにおける教育の姿について、ウェルビーイングの実現を目指し、学習者主体の教育に変えていく方向性が明確に打ち出された。
多くの自治体で1人1台端末の整備が完了し、利活用に向けた取り組みが始まっている状況を踏まえ、文科省が設置した「GIGAスクール構想に基づく1人1台端末の円滑な利活用に関する調査協力者会議」は6月9日、初会合を開き、今年9~12月をめどに利活用状況調査を行う案を示した。調査で端末の活用実態を把握した上で、円滑な利活用に向けての考え方や参考情報を今年度内に整理する。
校務のデジタル化を推進し、働き方改革に手応えを感じている学校がある。埼玉大学教育学部附属小学校(細川江利子校長、児童627人)では、紙で行っていた教員同士や保護者との情報共有をデジタル化。その結果、節約できたリソースは年間587時間、印刷費18万9千円に上り、繁忙期の残業も大幅に減らした。「業務改善を進めて、子供たちとの時間を生み出していきたい」――。このプロジェクトを担った同小の森田哲史副校長に話を聞いた。
多様な学びの形態などに対応したこれからの学校施設の条件を議論している、文科省の「新しい時代の学校施設検討部会」は6月8日、第4回会合をオンラインで開き、事務局から提示された、これまでの議論を踏まえた中間まとめの骨子案を検討した。骨子案では、GIGAスクール構想の実現を踏まえると、現状の教室空間は余裕がないことを強調した。
増加する医療的ケア児の支援を定めた「医療的ケア児支援法案」が6月8日、衆院本会議で全会一致で可決した。法案は参院に送られ、今国会で成立する見通しで、医療的ケア児やその家族への適切な支援について、国と自治体の責務を定め、保育や教育の拡充に向けた施策などを求めている。
今日6月8日、大阪教育大学附属池田小学校に刃物を持った男が侵入し、児童8人の命を奪った「池田小事件」の発生から20年となった。同小では、児童や教職員ら約650人が出席して「祈りと誓いの集い」が開かれた。学校安全の在り方が根底から問い直された同事件。全国の学校現場でいかに教訓を継承し、防犯意識を高めていくかが課題となっている。
小中学生への新型コロナウイルスのワクチン接種について、萩生田光一文科相は6月8日の閣議後会見で、「個別接種が基本になると現段階では考えている。学校で直ちに集団接種(を行う)ということは考えていない」と述べ、学校を通じた集団接種は当面行わない考えを明らかにした。一部の自治体が中学校や高校での集団接種を検討していることについては「保護者の同意を確認する必要がある」と慎重な対応を求めるとともに、高齢者や基礎疾患のある人を優先するなどワクチン接種の優先順位に配慮するよう求めた。
全国の公立学校の水害・土砂災害対策について文科省が初めて行った調査で、全体の約3割の学校が浸水想定区域か土砂災害警戒区域に立地し、要配慮者利用施設に位置付けられていることが分かった。このうち浸水想定区域にある学校の14.9%、土砂災害警戒区域にある学校の21.0%では、法律上義務付けられている避難確保計画が作成されていないことも分かり、萩生田光一文科相は6月8日の閣議後会見で、今年度中に速やかに避難確保計画の作成などを要請する通知を出したことを明らかにした。
海外の大学でワクチン接種が義務化され、海外留学を予定している学生が渡航できない状況になっていることから、萩生田光一文科相は6月8日の閣議後会見で、海外留学を予定する学生が文科省に申請すれば、大学などでワクチン接種が受けられる仕組みを用意することを表明した。接種完了後には海外の大学に提示できるよう、ワクチン接種済みであることを示す英文の特別な証明書を文部科学大臣名で発行する。
文科省と法務省は6月8日、2020年度の「人権教育及び人権啓発施策」(人権教育・啓発白書)を国会に報告した。コロナ禍で感染者や医療従事者らに対する偏見と差別が広がったことへの対応を特集で取り上げ、今後も注視を続けて適切な措置を講ずる必要があると指摘している。
コロナ禍で厳しい運営に直面している日本人学校などへの支援に向けて、文科省の「在外教育施設の今後の在り方に関する検討会」(座長・丹羽秀樹文科副大臣)は6月3日、中長期的な支援策などを盛り込んだ「在外教育施設未来戦略2030」を取りまとめた。児童生徒の減少などに苦しむ在外教育施設で英語力強化などの特色を育てる「選ばれる在外教育施設」づくりや、国内と同等の教育環境の整備などを支援する。
今年4月からGIGAスクール構想による1人1台端末の整備が本格化する中、学校の授業での端末活用は大型連休時点で43.9%にとどまっていることが、子育て世代の親約2000人に聞いた内閣府の調査で、6月7日までに分かった。新学期から1カ月たっても、授業での1人1台端末の活用は、全国の学校現場の半分に満たないとの実態が浮かび上がった。小中学生のオンライン教育についても調べたところ、学校や塾などで「オンライン教育を受けている」と答えた親は全国で26.7%だった。
内閣府は6月7日、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(第5次)」を決定した。GIGAスクール構想などで、学校でインターネットを利用する機会が増えていることから、学校での教育・啓発の推進を盛り込んだほか、自身の裸の画像などをメールやSNSで送るよう強要される「自画撮り」被害など、情報発信を契機としたトラブルが増えていることへの周知も進めるとした。……
現地で暮らす日本人リモートワーカーがファシリテートして、高校生が世界を学ぶ――。熊本市にあるルーテル学院中学・高等学校(内村公春校長、生徒1229人)は6月7日、アフリカのコートジボワールと中米のベリーズに住む日本人とオンラインでつながり、現地の文化を学んだり、交流したりする授業を行った。参加した生徒は両国の様子から、多文化共生の在り方や教育など、世界の課題に関心を広げていた。
新型コロナウイルスのワクチン接種が全国の自治体で進められる中、非正規も含めた教職員らでつくる「大学等教職員組合」(衣川清子委員長)が中心となって6月2日、参議院議員会館で院内集会を開き、子供やお年寄りと接触する機会が多い教職員や保育士、介護職にワクチンを優先接種することなどを政府に求める声明をまとめた。集会への参加者は「子供たちの未来を守るためにも優先接種は必要だ」などと訴え、ウェブ上の署名サイトを通じて署名を集めて政府に提出することにしている。
熊本市教委は6月4日、市立学校に通う児童生徒の保護者2万631人を対象にした「体罰・暴言等に関するアンケート」の結果を公表した。昨年度の学校生活で、自分の子供が体罰や暴言の被害に遭ったと答えた保護者は382人と全体の2割を占め、うち7割以上が学校や教委に届け出なかったと回答。理由は「相談しても無駄だと思った」が最も多かった。
コロナ禍の影響が続くとみられる来春の大学入試について、文科省は6月4日、2022年度の大学入学者選抜実施要項を公表し、大学入学共通テストの本試験を来年1月15、16日に実施することを明らかにした。追試験は2週間後の同29、30日に行う。今春、特例的に行った「第2日程」は設定しない。追試験の会場数や設置場所については、出願期間となる今年秋までに決める。
わいせつ行為を行った教員への免許の再交付を授与権者が拒否できる「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」が成立したことを受けて、萩生田光一文科相は6月4日の閣議後会見で、再交付の審査が都道府県単位で行われることに関して、「全国の都道府県教育委員会連合会などと相談し、都道府県に設置される審査会が同じ基準でスクリーニングができる仕組みをしっかり作りたい」と述べ、各地で審査の判断にばらつきが生じないように統一した基準作りを進める考えを示した。
横浜創英中学・高校の工藤勇一校長が6月3日、「いじめとどう向き合うか~いじめ問題を構造的に考える~」がテーマのオンラインイベントに登壇した。学校で生徒同士のトラブルが起こったとき、生徒本人が当事者として問題と向き合うための具体的な手立てや大人の役割について、所属校の取り組みを交えながら紹介した。イベントの後半では、NPO法人ストップいじめ!ナビ理事の真下麻里子弁護士も登壇。
内閣府は6月4日、「少子化社会対策大綱の推進に関する検討会」(座長:佐藤博樹・中央大学大学院教授)の初会合を開き、国の少子化対策の指針となる「少子化社会対策大綱」の現状や課題について議論した。現行の大綱について、こうした検証の機会を設けるのは初めて。2020年はコロナ禍の影響などで出生数が過去最少となり、出席した坂本哲志少子化担当相は「危機的な状況」と述べ、検討会に対し、今後の少子化対策の重点項目を整理するよう求めた。
厚労省が6月4日に公表した人口動態調査によると、2020年の1年間の出生数は約84万人で、過去最少となった。婚姻件数も戦後最少となり、コロナ禍が日本の少子化に一層拍車を掛ける構図となった。
新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言が出ている沖縄県は6月3日、対策本部会議を開き、子供への感染拡大がみられることから、同7~20日の間の県立高校、県立中学校、県立特別支援学校の休校を決めた。4日に県教委は県立学校のほか、公立小中学校を所管する市町村教委にもこの方針を通知し、同様の対応を要請した。今回の緊急事態宣言で、都道府県単位で一斉に休校を決めた初めてのケースとなる。