中央教育審議会(中教審)は3月12日、第128回総会を開き、萩生田光一文科相が、教師の魅力の向上を図るため、教員の養成・採用・研修の在り方について包括的な諮問を行った。教員免許更新制については抜本的な見直しを行い、先行して結論を出すよう要請した。学校現場から教員養成まで幅広い議論が必要になるため、中教審は初中教育と高等教育を横断的に取り扱う特別部会の設置を決めた。
小学校の学級編制標準を現行の40人(1年生は35人)から35人に引き下げることを目指す、義務標準法改正案に関する審議が3月12日、衆院文科委で本格的に始まった。とりわけ附則に盛り込まれた少人数学級の「効果検証」について、萩生田光一文科相は学力テストなどで測定される学力だけでなく、さまざまな教育活動や学校運営も含め「トータルでの効果を見守っていただくことが必要」と強調した。
GIGAスクール構想で4月から全国の小中学校で1人1台端末の活用が始まるのを前に、文科省は3月12日、運用に当たって確認すべき事項をまとめたチェックリストなどを全国の都道府県教委などに通知した。併せて児童生徒への健康への配慮や保護者との間で事前の確認が望ましいポイントを示したほか、ネットワーク環境の確認も求めている。
知的障害の特別支援学校に硬式野球部をつくり、「甲子園」の予選に出る――。そんな夢を現実にしようと、特別支援学校の教員と社会人野球経験者が立ち上がった。東京都立中野特別支援学校の久保田浩司教諭はこのほど、都内で記者会見を開き、特別支援学校高等部に通う知的障害のある生徒が硬式野球をプレーするのを支援する「甲子園 夢 プロジェクト」をスタートすると発表した。
Society5.0時代における教育の実現に向けて、経団連は3月11日、EdTechによる自律的な学びに関する新たな提言を公表した。GIGAスクール構想や学習者用デジタル教科書の普及を見据え、EdTechによる学びのDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めていくためのロードマップを示した。
内閣府は3月15日まで、子供・若者育成支援推進大綱案について、パブリックコメントを募集している。新大綱案では、新型コロナウイルスの流行での子供・若者を取り巻く社会状況の変化を踏まえ、孤独・孤立の問題への対応や自殺対策を強化。国連のSDGs(持続可能な開発目標)を念頭に、個々の違いを認め、尊重しながら協働する多様性と、包摂性のある社会を形成する一員として子供・若者を育成する重要性をうたっている。
今年4月からいよいよ、GIGAスクール構想で整備された小中学校の1人1台端末の活用が本格的に始まる。ただ、どのように授業で活用すればよいのか、端末管理のルールはどう決めるべきかなど、学校現場からは戸惑いの声も上がる。こうした現場を支援するため文科省では昨年12月、「GIGA StuDX推進チーム」が始動。
「私たちが取り組むべき課題全てが網羅されている」――。中教審が今年1月に取りまとめた答申「令和の日本型学校教育」をこう評する、全連小会長の喜名朝博(ともひろ)東京都江東区立明治小学校校長。「これまでの日本型学校教育の成果と課題がまとめられた」と、その意義について語る。 学校現場の一人一人は答申とどう向き合い、日々の教育実践にどう生かせばいいのだろうか。喜名会長とともに、現場目線でその内容を読み解く。 <hr /> <h5><strong>「教育=学校教育」という勘違いを捨てる</strong></h5> <h6>――今回の中教審の答申について、どのように見ていますか。</h6> これまでの反省とこれからの学校の在り方を論じており、私たちが取り組むべき課題全てが網羅されています。私自身も、初等中等教育分科会教育課程部会や教員養成部会の委員として議論に参加してきましたが、それぞれの委員の意見をよく取り入れていただいていると感じました。 答申では学校教育の役割について、「学習機会と学力保障」「全人的な発達・成長の保障」「身体的、精神的な健康の保障」――と改めて整理されました。 その上で、これまでの日本型学校教育の成果と課題を統括したのはとても重要な点でしょう。……
中教審が1月に答申した「令和の日本型学校教育の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~」では、「個別最適な学び」と「協働的な学び」を両輪に、2020年代を通じて実現すべき「令和の日本型学校教育」の姿を描いている。
東日本大震災の発生から10年となった3月11日、当時74人の児童と教職員10人が津波で犠牲となった宮城県石巻市の大川小学校と、全国の約3000人の子供たちをつないだカタリバ主催のオンライン授業が行われた。当時6年生だった次女のみずほさんを亡くした元中学校教員の佐藤敏郎さんが「先生」となり、命を守るための防災の本質とは何かを伝えた。
あしなが育英会は3月9日、記者会見を開き、東日本大震災の津波によって親を失った震災遺児らが、これまでの10年を振り返った。同会が震災遺児に行ったアンケートでは、今もなお、震災で大切な人との死別を「信じられない」と感じる人が半数以上を占めるなど、継続的な心のケアの必要性が浮かび上がる。
国立がん研究センターはこのほど、がん患者の診療体験や療養生活の実態を明らかにする全国調査の一環で、初めて小児がん患者を対象とした調査報告書を公表した。小児がんと診断された時点で高校生だった場合、休学が6割を超え、小中学校よりも突出して高い割合であることが明らかとなった。何らかの学習支援についても、小学生の9割、中学生の8割弱が受けられたと回答したのに対し、高校生では2割以下だった。
SNSやスマートフォンによる、災害時のフェイクニュースやデマの拡散リスクを考える「情報防災訓練」の授業が3月9日、さいたま市の浦和ルーテル学院小中高等学校(福島宏政校長、児童生徒758人)で行われた。情報教育が専門の塩田真吾静岡大学准教授が講師役となり、LINEみらい財団と共同開発した教材を使って、情報の信頼性を見極める「だいふく」の観点を中学2年生にアドバイスした。
中央教育審議会(中教審)の答申では、コロナ禍の休校長期化によって、子供たち一人一人が自立した学習者として学び続けていけるかどうかが改めて焦点化され、子供たちにそうした資質・能力を育成する教師の役割についても議論が深められた。取りまとめにあたった荒瀬克己・関西国際大学学長補佐・基盤教育機構教授は「教師の役割を考える上で、鍵になるのは『総合的な学習の時間』『総合的な探究の時間』だと思う」と述べ、探究学習の重要性を改めて強調。
今年初めて実施された大学入学共通テストの安定的な実施に向けて、萩生田光一文科相は3月10日の衆院文科委で、共通テストの成績のみで合否判定する選抜区分のある私立大学について、「受験生から1万5000円とか2万円を徴収して、共通テストに750円だけ払って、新入生を確保するのはあまりにも暴利ではないかと思う。
文科省は3月10日、今年度の国公立大学入試の中期・後期日程で25大学33学部が2段階選抜を実施し、4151人が不合格になったと公表した。前期日程と合わせると37大学62学部が2段階選抜を行い、不合格者は前年度より1770人多い6290人に上った。
中学校美術科と技術・家庭科の技能教科において、免許のない教員が指導する「免許外教科担任」が常態化しているとして、高知県土佐町議会は3月9日、県と県教委に解消を求める意見書を賛成6人、反対1人で採択した。
文科省は3月9日、専修学校やそこに通う学生らが発信できる参加型広報プロジェクト「専修学校『#知る専』」の特設ポータルサイトを開設した。コロナ禍でオープンキャンパスが制限される中、中高生や教職員、保護者らに専修学校での学びを知る機会を提供し、進路選択の幅を広げる。ツイッターやインスタグラム、YouTubeチャンネルなど中高生になじみの深いSNSと連携し、専修学校の魅力を発信する。
萩生田光一文科相は3月9日の閣議後会見で、同日付で第11期中教審の委員29人を任命したことを明らかにした。新たに任命された委員は14人で、任期は2023年3月までの2年間。萩生田文科相は会見で、「『令和の日本型学校教育』を担う教師の養成・採用・研修等の在り方と、『第3次学校安全の推進に関する計画』の策定の2点について諮問する。総合的、多面的に検討していただきたい」と期待を示した。
中央教育審議会(中教審)が答申をまとめる過程では、新型コロナウイルスの感染拡大と学校の一斉休校など、当初は誰も想定できなかった事態が次々と起きた。答申の取りまとめにあたった荒瀬克己・関西国際大学学長補佐・基盤教育機構教授は「そもそも学校教育とは何なのか。教師は何をする仕事なのか。
コロナ禍における宿泊を伴う修学旅行について、各自治体や学校で対応が分かれる中、埼玉県越谷市立新方小学校(田畑栄一校長・児童203人)では3月7、8日に、宿泊を伴う5年生の林間学校を山梨県河口湖で実施した。また3月15、16日には、箱根・鎌倉へ宿泊を伴う6年生の修学旅行を実施する。「コロナ禍で創意工夫してやることに価値があるのではないか」と話す同小に、実施の判断に至るまでを聞いた。
今の日本の教育改革は、流行に踊らされているだけなのか――。教育方法学が専門の石井英真京都大学准教授と、経産省の「未来の教室」実証事業を担当している浅野大介サービス政策課長・教育産業室長らの対談「いま、教育の未来をめぐる『対話』を―不易vs流行の二項対立を超えて」(教育開発研究所主催)が3月6日、オンラインで開かれた。
GIGAスクール構想での1人1台端末の整備が進められる中、教育のICT活用を推進する国会議員が超党派で参加する「教育における情報通信(ICT)利活用促進を目指す議員連盟(ICT議連)」の2021年第1回総会が、3月5日に開かれた。今年度末に大半の自治体で端末整備が完了するものの、議員や有識者からは「端末はあるが何にも使っていないという状況」を懸念する声が挙がり、活用に向けた方策が議論された。
文科省が3月5日に公表した2020年度の教職員団体への加入状況調査によると、昨年10月1日時点で、教職員団体への加入率は31.4%で、前年度と比べ0.6ポイント減となった。教職員団体の加入率は1976年以来、45年連続で減少が続いている。一方で、新採用教職員の加入率は24.3%で、前年度と比べ0.5ポイント改善。ここ数年、横ばいで推移している。
中央教育審議会(中教審)が1月26日にまとめた答申は、2020年代を通して学校教育が実現すべき姿を「令和の日本型学校教育」として描き出した。初等中等教育分科会長・特別部会長として答申の取りまとめにあたった荒瀬克己・関西国際大学学長補佐・基盤教育機構教授は「今回の答申は、一人一人の子供を主語にして日本の学校教育を進めていこうということ。
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗元会長の女性蔑視発言で、改めて日本のジェンダーギャップが問題視された。日本の学校における女性校長の割合は、公立小で20.6%、公立中で7.5%。国立女性教育会館が2018年に行った調査では、管理職になりたいと答えた女性教員の割合はたった7.0%で、「学校は教員の働く場であるとともに、次代を担う子供たちが男女共同参画を推進する意識を育む基盤となる、とても重要な場」と指摘された。
コロナ禍が続く中で、学びを再び止めないために、学校は今、何を考えるべきか――。教育新聞「オピニオン」の執筆者でもある中原淳立教大学教授の研究室は3月7日、昨年の臨時休校中に行った実態調査の結果をまとめた書籍『学校が「とまった」日』(東洋館出版社)の出版記念シンポジウムを開いた。
学校の働き方改革の一環として、横浜市教委はこのほど、来年度から市立学校の教職員の勤務にフレックスタイム制度を導入することを決めた。勤務の開始から終了までの時間を15分単位で選択することが可能になり、子育てや介護など教職員の事情に応じて柔軟な働き方がしやすくなる。