文科省は12月28日までに、国公立の小中学校や特別支援学校を対象に実施した「学校施設におけるバリアフリー化の状況調査」の最終結果を公表した。今月10日に発表した速報値を精査したほか、公立特別支援学校や国立小中学校などの状況を新たに追加した。また都道府県別の状況を公表し、滋賀県や兵庫県などで公立小中学校のバリアフリー化が進んでいる実態が明らかになった。
大分県教委はこのほど、教員免許状を保有していなかったとして、県立学校で臨時講師の任用を無効とした。この臨時講師は教員採用試験にも合格していたが、取り消しとなった。 同県教委によると、この臨時講師は、学生時代に単位が足りず、教員免許状を取得できていなかったが、2019年4月に任用された際、自分のパソコンで精巧に偽造した免許状を県教委に提出。
「わいせつ教員を二度と教壇に立たせない」ことを目指して検討を重ねてきた教育職員免許法の改正について、萩生田光一文科相は12月25日の閣議後会見で、「法制上乗り越えられない課題がある」として、来年1月に始まる次期通常国会への法案提出を見送る考えを表明した。
コロナ禍の特例措置として通知された、オンラインによる家庭学習の指導上の取り扱いについて、萩生田光一文科相は12月25日の閣議後会見で、子供たちが登校できないような非常時に限った「学びの保障」の措置として恒久化し、来年度から実施する考えを明らかにした。指導要録に記録欄を新たに設けるほか、家庭学習の成果が一定の要件を満たした場合には、対面での再指導を不要とすることを想定している。
文科省は12月25日、全国の教育委員会に対して悉皆(しっかい)で実施した2020年度「学校の働き方改革のための取り組み状況調査」の結果を公表した。コロナ禍による休校の影響で、4~6月は月当たりの時間外勤務が45時間以下となった割合が前年度より増加した一方、学校が再開した7月以降では、その割合は前年度より減るなど、学校再開後の消毒作業や夏休みの短縮で、長時間労働に拍車がかかっている状況が浮き彫りとなった。
12月25日に文科省が公表した2020年度「学校の働き方改革のための取り組み状況調査」の結果では、19年12月に成立した改正給特法に関する条例整備の状況も調べた。来年4月から自治体が条例を定めれば導入可能になる、1年単位の変形労働時間制の導入については都道府県の53.2%、政令市の10.0%が今後整備予定と回答。さらに、都道府県のうち25.5%は20年度の議会で条例整備を行う予定と答えた。
今年度の大学への進学率が54.4%となり、過去最高になったことが、文科省が12月25日に公表した学校基本調査(確定値)の結果で明らかになった。短大・専門学校なども含む高等教育機関への進学率は83.5%で、同じく過去最高だった。一方、大学の学部卒業者の大学院などへの進学率は10年連続で低下し、11.3%となった。
公立小学校の学級編制を今後5年間で、段階的に35人まで引き下げることが決まったことを受け、中教審は12月25日、総会でこうした少人数学級の方針について議論するとともに、個別最適な学びと協働的な学びなどを盛り込んだ答申素案を検討した。委員からは学級編制の引き下げを評価する意見が多く寄せられたが、目指すべき「全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学び」を実現するため、さらなる課題を指摘する声もあった。
文科省は12月24日、来年5月27日に行う2021年度の全国学力・学習状況調査について、実施要領を23日付で都道府県教委に通知したことを明らかにした。本体調査は、国語、算数・数学の2教科。過去の調査と同じ問題を出題して学力の変化をみる経年変化分析調査と、家庭の社会経済的背景(SES)と学力の関係を継続的に調べる保護者に関する調査も合わせて行う。
来年1月16日、17日に控えた大学入学共通テストを巡り、大学入試センターは12月23日、新型コロナウイルス感染症対策に関するQ&Aを公表した。先日、条件付きで受験が認められた濃厚接触者への注意事項をまとめた。また、英文字や地図などがプリントされたマスクを着用しないことや、フェイスシールドのみの着用では受験できないことなどを明記した。
文科省の「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議」は12月22日、第13回会合をオンラインで開き、今後の特別支援教育の方向性や検討課題を示した同会議としての報告案を取りまとめた。また、特別支援学校の教室不足についての詳細な調査結果も報告され、教室の間仕切りや倉庫・準備室の転用など、児童生徒の増加で一時的な対応をしている教室は全国で7221教室に上ることが示された。
消費者庁は12月22日、同庁制作の消費者教育教材『社会への扉』の効果を検証した、追跡調査の結果を公表した。2017年度に同教材を使用して授業を受けた高校1年生の生徒に、学年が上がるとともに同じ質問を行ったところ、「契約の成立時期」や「契約の解約」に関する正答率は、授業後に一時的に高まるものの、その後に低下するなど、知識の定着に課題がみられた。
特別支援学校の生徒がテレワークに挑戦――。東京都立光明学園(田村康二朗校長、児童生徒225人)でこのほど、日本マイクロソフトで働く障害のある社員と生徒をオンラインでつないだ交流会が開かれた。生徒らは、同社の社員とのワークショップなどを通じて、オンライン上での共同作業を体験。自分自身のキャリアや仕事へのイメージを膨らませていた。
トイレにまつわる教育活動などに取り組んでいる日本トイレ研究所は12月22日、小学生の日常生活における排便の実態に関する調査結果を公表した。10日間の排便記録を分析し、4人に1人程度の小学生に便秘の可能性があることが分かった。
菅義偉内閣の看板政策である行政のデジタル化に対応するため、文科省は12月23日、デジタル化推進本部(本部長・萩生田光一文科相)の第2回会合を開き、「文科省におけるデジタル化推進プラン」を取りまとめた。学校教育関連では、1人1台端末の利活用スタートに向け、学校現場を実践的に支援する「GIGA StuDX推進チーム」を設置。
文科省の「大学入試のあり方に関する検討会議」が12月22日に開いた第20回会合で、座長代理を務める川嶋太津夫大阪大学高等教育・入試研究開発センター長は、これまでの議論を踏まえ、論点を整理した。4技能評価の意義に加え、大学入学共通テストでの資格・検定試験活用への課題と解消策、高校教育までの学校教育の充実、4技能評価の実施上の課題などの項目をまとめた。
中教審教育課程部会は12月22日、第122回会合をオンラインで開き、第10期としての審議のまとめ案を大筋で了承した。前回会合での議論などを踏まえ、素案から学習評価に関する項目を独立させ、ICTを活用した個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を強調。コロナ禍による長期休校の経験を踏まえ、子供が自ら学びを進める力や、STEAM教育による問題解決能力の育成などへの記述を追加した。
コロナ禍で大学の対面授業が減っている中、文科省は12月23日、後期が始まった10月20日時点で、授業の実施状況を調べた再調査の結果を公表した。9月の前回調査で対面授業の割合が半分未満と回答した大学・短大・高専377校のうち、実際に対面授業の実施割合が半分未満だったのは187校だった。この187校のうち158校は、オンラインを中心とした授業形態について「学生の理解や納得を得られている」と答えた。
東京工業大学は12月21日、コロナ禍におけるオンライン授業による大学教育の変容などをテーマとした「教育革新シンポジウム2020」をオンラインで開催した。「学生のエンゲージメントを高める授業づくり」をテーマに、大学や高校でのオンライン授業について研究者らが報告した。
体罰や暴力のない部活動改革を共に実現しようと、大阪市立桜宮高校と兵庫県尼崎市立尼崎高校は12月22日、友好連携協定を締結した。過去に部活動で深刻な体罰問題が起きた両校は、この教訓を生かし、連携協定を通じて生徒や教職員の交流を行うなどし、地域に誇る高校になることを目指すとしている。
学習者用デジタル教科書の使用を、各教科等の授業時数の2分の1に満たないこととする現行基準について、文科省の検討会議は12月22日、児童生徒の健康面への配慮や、教員の指導力向上の施策を講じることを前提に、撤廃することが適当だとする方針をまとめた。来年度からの撤廃に向け、年度内に現行基準を定めた文科省告示の改正を目指す。
文科省は12月22日、2019年度の学校教員統計調査の中間報告の結果を公表した。16年度に行った前回調査と比べて、公立の幼、小、中、高校の教員で若返りの傾向が続く。一方で、中学校を除き、定年退職者を除く教員の離職者数は減少。離職理由別にみると、定年以外では転職や家庭の事情、病気によるものが多数を占め、病気では精神疾患によるものが半数以上を占めた。
文科省が12月22日公表した2019年度公立学校教職員の人事行政状況調査によると、校長や副校長など管理職に就いた女性は20年4月1日時点で1万3501人と、前年度より693人増加した。全管理職の19.7%を占め、過去最高の割合となった。
2019年度にわいせつ行為やセクシュアルハラスメントにより処分を受けた公立学校の教員の数が273人に上り、昨年度の282人に次ぐ過去2番目の多さとなったことが12月22日、文科省の公表した「令和元年度公立学校教職員の人事行政状況調査」で明らかになった。うち懲戒免職とされたのは153人。文科省は「極めて深刻に受け止めている」として、児童生徒に対してわいせつ行為に及んだ教員を原則、懲戒免職とすることなどを徹底するとした。
文科省が12月22日公表した2019年度公立学校教職員の人事行政状況調査によると、精神疾患による病気休職者は5478人で、全教職員数の0.59%を占めた。前年度より266人増加し、過去最多を記録した。学校種別では特別支援学校、年代別では30代で割合が高かった。
徳島県議会は12月18日、公立学校の教員に対する1年単位の変形労働時間制の導入を可能とする「義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例」の改正案を、賛成多数で可決した。条例改正案の可決は北海道に続き2例目となる。
政府は12月21日の閣議で、2021年度予算案を決定した。文部科学関係予算は5兆2979億9700万円で、このうち文教関係予算は前年度から87億円減って4兆216億円となった。学校教育関連では、小学校全学年の「35人学級」を5年間かけて実現するための義務教育費国庫負担金や、学習者用デジタル教科書を小学5年生から中学3年生まで全国の約6割の学校で1教科ずつ導入し、学校現場がデジタル環境に慣れていくための促進事業などが盛り込まれた。
新型コロナウイルスの感染対策と学校運営の両立が学校現場での課題になっていることを背景に、萩生田光一文科相は12月21日の閣議後会見で、コロナ禍で厳しい経営を強いられている民間航空会社の人材を来年度以降、学校現場で活用する方向で調整していることを明らかにした。出向の形で教員や学習指導員、スクール・サポート・スタッフとして学校現場に受け入れ、教職員の負担軽減や児童生徒へのキャリア教育につなげる。