政府が12月21日に閣議決定した2020年度第3次補正予算案と21年度予算案に関して、内閣府が所管する子ども・子育て支援新制度に関する予算額は、合わせて3兆2118億円に上った。同日に厚労省が取りまとめた「新子育て安心プラン」に基づき、新たな保育の受け皿を確保するための必要経費を拡充させるなどした。
入院中の高校生が学びを継続できる環境を――。全国病弱教育研究会は12月20日、オンラインによる全国大会を開催し、重い病気のある子供への学びの支援の課題について、関係者らが意見交換を行った。小児がんなどで長期入院を経験した高校生や大学生が、入院中も高校の授業を受けられるようにする環境づくりの重要性を訴えた。
初めての実施が来年1月に迫っている大学入学共通テストに向け、文科省は12月18日、新型コロナウイルスの感染防止対策について、関係団体などに協力を要請する具体的な項目を明らかにした。受験生が使用する宿泊施設や公共交通機関で「密」を避ける感染防止対策の徹底を求めたほか、塾・予備校関係者に受験生を激励するため試験会場周辺に集まらないよう自粛を要請した。
文科省の全国的な学力調査に関する専門家会議は12月18日、第7回会合をオンラインで開催し、来年度の全国学力・学習状況調査の質問項目について検討した。一斉休校の学習面への影響や、GIGAスクール構想を踏まえたICTに関する内容を、新たに盛り込むことを確認した。また、今年度実施を見送ったため、全国の教委に配布した問題冊子の活用状況についての調査結果も併せて公表した。
公立小学校の学級編制を5年間で、段階的に全学年で35人に引き下げる合意について、小中高での少人数学級実現を訴えてきた教育研究者らが12月18日、文科省で会見し、「少なくとも5年で30人に」と要望した。
兵庫県教委は12月17日、県内の小学生から高校生を対象に実施した、コロナ禍による心のケアに関する第2回調査の結果を公表した。ストレスを抱えている児童生徒の割合は、7月に実施した第1回調査と比べて大きな変化は見られなかった。今回新たに実施した保護者からの回答と子供の回答の比較では、ストレスを感じる頻度について、認識の差が生じていた。
政府は12月18日までに、全世代型社会保障検討会議の第12回会合を首相官邸で開き、2024年度末までに約14万人分の保育の受け皿整備など、子育て支援策を盛り込んだ方針を取りまとめた。会議であいさつした菅義偉首相は「少子高齢化が急速に進む中にあって、現役世代の負担上昇を抑えながら、全ての世代の方々が安心できる社会保障制度を構築し、次の世代に引き継いでいくことが、われわれの世代の責任」と強調。
教育事業を展開するスプリックスが設立したスプリックス基礎学力研究所は12月17日、日本を含む11カ国の6~15歳の子供1万1000人を対象に実施した、基礎学力に関する調査の結果を公表した。日本は平均正答率で11カ国中4位だったものの、6~9歳に限ってみると、11カ国中9位となり、低学年の基礎学力に課題がみられた。
少人数学級を巡る来年度予算案について、麻生太郎財務相と萩生田光一文科相の事前閣僚折衝が12月17日、財務省で行われ、現在は40人(小学1年は35人)と定められている公立小学校の学級編制を、来年度から5年間をかけて、段階的に全学年で35人に引き下げることで合意した。中学校は現行の40人を維持する。
「率直に申し上げて、隣の建物(財務省)の壁は高かったなというのが、正直な感想。しかし、全国から大きな声をいただいて、小さな一歩かもしれないが、小学校全学年で、35人という新たなスタイルを作ることができた」――。萩生田光一文科相は12月17日、麻生太郎財務相との来年度予算案の事前閣僚折衝を終えた記者会見で、小中学校の「30人学級」実現を目指した3カ月間に及ぶ予算攻防をこう振り返った。
萩生田光一文科相と麻生太郎財務相は12月17日、財務省で来年度予算案の事前閣僚折衝を行い、義務標準法で現在40人(小学1年は35人)と定められている公立小学校の学級編制を、来年度から5年間をかけて段階的に下げ、全学年で35人とすることで合意した。中学校は現行の40人を維持する。文科省は第8次教職員定数改善計画(2021-2025年)を策定し、小学校全学年の「35人学級」を計画的に整備できるよう、自治体に対して教員配置を担保する。
現行で40人(小学1年は35人)と定められている公立小学校の学級編制について、来年度から5年間をかけて、段階的に全学年で35人に引き下げることが決まった。中学校は現行の40人を維持する。学級編成の引き下げは40年ぶりの改革だが、一方で中学校が引き下げの対象とならないことや、学級数が増えることに伴う教員確保など課題も残る。
児童虐待の増加による児童相談所の一時保護の増加を受けて、総務省は12月15日、一時保護され、家庭での養育が困難であることから、児童養護施設や里親の下で暮らす子供の養育の課題に関する実態調査を基に、厚労省に勧告を行った。進学や就職で施設から離れて暮らす子供に、養育や必要な支援を継続することについて、指針などに明記して都道府県に周知することなどを求めた。
デロイトトーマツコンサルティング合同会社は12月17日、世界各地の児童労働の実態を初めてまとめた『児童労働白書2020―ビジネスと児童労働―』に関するオンラインセミナーを開催した。コロナ禍によって児童労働が増える可能性があるとの懸念を示し、企業側の人権ビジネスの取り組みに期待を示した。
政府の教育再生実行会議は12月16日、初等中等教育ワーキング・グループ(初中WG)で来年度の予算編成に向け、今月をめどに取りまとめを目指していた少人数学級に関する提言を見送ることを表明した。有識者間でさらに深い議論が必要だとして、教育再生実行会議全体の提言をまとめるタイミングに合わせ、来年5月に取りまとめを行うことを目指す。
特別支援学校に通う肢体不自由の生徒が、自分自身の夢や社会への提言を発表する「ミラコン2020~未来を見通すコンテスト~第3回プレゼンカップ全国大会」(全国特別支援学校肢体不自由教育校長会主催)のファイナルステージが12月16日、東京都世田谷区の都立光明学園(田村康二朗校長、児童生徒225人)で開かれた。
「月曜日の朝がしんどい」。そんな教師の気持ちに寄り添おうと、映画『みんなの学校』の舞台となった大阪市立大空小学校の初代校長・木村泰子氏が12月14日から、教師に向けてメッセージ動画を発信する新たな試みを始めた。NPO法人「共育の杜」が運営するオンラインサロンで、毎週月曜の朝などに定期的に配信される。
障害児に「子どもの権利」を教えてほしい――。12月14日に都内で開かれた厚労省「子どもの権利擁護に関するワーキングチーム(WT)」の会合で、6~19歳まで障害児施設で暮らし、現在は自立生活を送る井上龍之介さんが、自身の経験を踏まえ、障害児がもっと自由に意見を表明できたり、聞いてもらえたりする機会の重要性を訴えた。
総務省の中部管区行政評価局は12月11日、東海4県の8国立大学を対象にした「緊急時における大学の遠隔授業の実施に関する調査」の結果を公表した。遠隔授業を実施するに当たり、多くの大学で受講方法が学生に十分に説明されていなかったり、授業中に質疑応答の時間が設けられていなかったりすることが明らかになった。
ユニセフ(国連児童基金)のイノチェンティ研究所は12月11日、コロナ禍が子供の貧困問題に与える影響をまとめた報告書を公表した。政府の財政支出のうち、感染拡大の第1波の間に、子供や子育て世帯の支援に割り当てられたのは2%に過ぎず、子供の貧困リスクに対処できていないと警鐘を鳴らした。
千葉県船橋市によると、市立船橋高校で発生したクラスターは12月15日時点で、教員と生徒合わせて100人に上るなど、検査結果が出るとともに増加している。同日には、茨城県土浦市にある土浦日本大学高校でも教員と生徒15人の感染が確認され、両校の男子バスケットボール部が練習試合を行っていたことも判明した。
少人数学級の実現に向け、来年度予算編成を巡る文科省と財務当局の攻防が大詰めを迎えている。文科省は児童生徒の自然減があるため、教職員定数を現状の水準で維持すれば、財政負担を増やさなくても今後10年間で30人学級の実現が可能と主張。財務当局は自然減分をそのまま教職員の人件費に充てるわけにはいかないなどと反論しているといい、議論は平行線となっている。
政府は12月15日夕、臨時閣議を開き、今年度の第3次補正予算案を閣議決定した。文科省関連は総額1兆1830億円で、教育関連ではコロナ禍に対応するための教職員経費など感染症対策支援、GIGAスクール構想で対象となっていない高校のICT環境の整備、工業科や農業科など職業学科のICT環境を整備する「スマート専門高校」の実現、学校施設の衛生環境改善や老朽化対策などを盛り込んだ。
東日本大震災による津波で74人もの児童が犠牲となった宮城県石巻市立大川小学校の事故を踏まえ、宮城県教委の検討会議は12月14日、学校防災の抜本的な見直しに関する提言を盛り込んだ報告書を取りまとめ、県議会に報告した。震災から間もなく10年を迎えることから、教職員がその記憶と教訓を継承し、災害時に適切に対応できる能力を養成することや、地域の災害特性を踏まえた学校防災体制の構築などをうたった。
新型コロナウイルスの感染拡大による今春の臨時休校について、萩生田光一文科相は12月15日、来年度の全国学力・学習状況調査で、学習状況や環境に関する質問項目を新たに盛り込み、コロナ禍の影響について、さまざまな観点から把握・分析を行うとした。
ユニセフ(国連児童基金)は12月15日、ヘンリエッタ・フォア事務局長による声明を発表し、子供たちへの学びの保障のためにも、教師への新型コロナウイルスのワクチン接種を優先すべきだと各国政府に呼び掛けた。
東京都東久留米市にある自由学園男子部(更科幸一部長、生徒214人)で、「種苗法」をテーマに生徒が議論を重ねた国語の授業がこのほど行われた。一見すると「国語らしからぬ」授業は、2学期の初めの授業での生徒の提案から始まったという。を生徒たちとの話し合いで決めている。……
北海道議会は12月11日の本会議で、公立学校教員への1年単位の変形労働時間制の導入を可能にする「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置条例」の改正案を可決した。