「気になる子どもがいても、SSWerに相談すると指導力不足に思われる」「こんな簡単なことに対応してくれるの? 教師に話が戻るのでは?」というのが教師の正直な思いだ。そして抱え込む。この状況を改善しない限り、子どもを救えない。「教師が気軽に懸念を共有し、早期につなぐことが当たり前になる」ためには、法的規定や文化をつくるしかない。
本連載において、スクールソーシャルワーカー(SSWer)とは、どんな価値をもって、どんな活動をする専門家なのかを説明してきた。しかし、どこにそんな人がいるのだ、と思う人も多いであろう。 現在、社会福祉士養成校は300校ほど存在する。これらの学校に通えば、国家資格である社会福祉士の受験資格が得られる。
良い実践を持続可能なものにするために制度化していく試みが、スクールソーシャルワーカー(SSWer)のマクロ実践である。 現在、子どもの貧困についての議論が活発になっている。例えば大阪府の調査では、就学援助の受給条件に該当するにもかかわらず、受給したことがない世帯が14.6%も存在する。この数値は必要な家庭に必要な支援が届いていないことを示唆する。
前回紹介した、気になる子どもを発見して対応を決める「スクリーニング会議」の様子をのぞいてみよう。 5年生の学年会議。全児童につき一人ずつ順番に検討していく。担任が「この子はちょっと休みがち。でも家庭訪問をした時に母親が前よりも学校に気持ちを向けていると話してくれた」と報告する。
児童虐待を起こした保護者の執拗(しつよう)な要求に、担任教師が翻弄(ほんろう)されて過労死に至り、そのご家族が公務災害を要求した裁判に関わったことがある。教育に熱い思いを持った優しい教師だったという。子どものことを思うが故に、理不尽な要求、頻繁にかかる電話などに苦しめられたのだった。
スクールソーシャルワーカー(SSWer)が行う仕事の対象には、ミクロ、メゾ、マクロのレベルがある。「メゾ」のレベルでは中間サイズ、つまり学校が対象となる。家庭環境の安全安心の向上だけではなく、教育現場の安心安全の向上も含まれている点は、同じソーシャルワーカーであっても児童相談所の児童福祉司とは違うところである。
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