新学習指導要領に盛り込まれた「主体的・対話的で深い学び」。これを実現するために、授業の進め方も変わろうとしていると思いますが、学校運営への生徒参加も、同じ文脈の中に位置付けられます。「先生の言うことを聞きなさい」「質問をされたら『はい』と答えなさい」ではなく、主体的に学ぶ「当事者」にするのです。
日本では、校長の裁量権が広く認められており、学校内での意思決定の在り方や校則の内容についても、校長の権限に委ねられていることはこれまで述べた通りです。しかし、国連・子どもの権利委員会が以下のように勧告している通り、全ての子供の意見表明権(the right to be heard)」を保障するために、学校運営への生徒参加を「制度化」していくべきです。
制度的には担保されていない日本の「学校内民主主義」ですが、国内で一切行われていないというわけではありません。中でも、東京の私立大東学園高校の三者協議会と高知県奈半利町立奈半利中学校の三者会は、「校長の補助機関」ではなく、学校運営に関する「意思決定機関」の性格を有しており、決定権を持つ欧米の学校評議会に近いものとなっています。
1960年代の大学紛争・高校紛争の後、「脱政治化」していった日本の学校とは異なり、フランスでは68年の大学紛争が生じた時期から徐々に、学校運営に生徒・父母の参加が保障されるような形で制度化が進みました。
校則をはじめ、現状の日本の学校は、校長の権限に大きく委ねられています。子供の人権を軽視するような校長はいないと考えたいですが、実際にはいまだに人権侵害にも当たるような「ブラック校則」を許容している学校が一定数存在し、ほとんどの学校で「子どもの意見表明権(the right to be heard)」は保障されていません。
「学校内民主主義」が必要なのは、教職員・児童生徒間だけではありません。校長・教職員間でも必要だと考えています。
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