本連載の第3回では、日本はコロナ禍以前、学校におけるICTの教育利用に消極的な国であったことが分かった。この事実を踏まえ、第4回では2020年度の急なICT利用に対応できたのはどのような学校であったのかを考えるため、コロナ禍前夜の2019年における児童生徒の家庭のICT環境に注目したい。
前回解説したように、ICTを操る情報活用能力は、これからの社会に必要な学習の基盤となる資質・能力の一つとして位置付けられている。ところが、日本はICTの教育利用において後進国であるという認識が示されてきた。この根拠として文科省が挙げているデータの一つが、OECDが15歳の生徒を対象に3年ごとに実施するPISA(生徒の学習到達度調査)の2018年版である。
前回も触れた通り、ICTの導入はコロナ禍に対応するために突如要請されたわけではない。第2回では、新学習指導要領においてICTにどのような役割が与えられており、そのための環境整備がどう進められる予定であったのかを振り返る。
2020年2月27日、政府は新型コロナ感染症の感染拡大に伴い、全ての学校に対して臨時休業の要請を出した。当初、この休業は新学期が始まるまでの緊急避難的な措置として受け止められていた。ところが、春休みが明けてもコロナ禍は収束せず、全国の小中高校生の大半が5月末まで、通常の登校ができない状況に置かれた。
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