これまでカナダの教員養成プログラムやインクルーシブ教育の現状、そして生徒主体のカリキュラムの実状について、さまざまな視点から述べてきた。最終回は教員のごく普通の1日がどのようなものかお伝えしたいと思う。これまでのシリーズが、単にカナダの教育についての理解が深まっただけではなく、日本の教育への何らかのヒントになったのであれば幸いだ。
カナダ・ブリティッシュコロンビア(BC)州の教育改革は、州レベルでは前回述べたような共通テストの改革や、大枠になるカリキュラムの内容、コンピテンシーの導入などがあった。2015年度からのこの改革は、州は大枠を決めるだけで、改革の方向性をどうクラス内に導入するかについては、現場の教員に委ねられた。
今回は、教師として多種多様な生徒に合ったサポートをするという意味での、インクルーシブ教育の現状について考えたい。
多民族国家のカナダ。どのクラスをのぞいても、たくさんの違った言語を母国語に持つ児童生徒で溢れている。さまざまな国から来た人たちが共に生活していくために育んできた国民性として、平等と寛容の精神がある。これはクラス内においても一緒で、言語的な壁だけではなく、肉体的または脳の発達においての障害も含めて、全ての児童生徒が共にクラス内で学ぶ権利が法の下で保障されている。
カナダに移住してから14年。ワーキングホリデーで渡航してから縁あって教育に関わり続けてきた。学童保育からスタートし、障害児のサポートなどを経て、現在は公立高校で数学を教えている。教育のさまざまな場でさまざまな役割で関わってきたからこそ、見えてくるものがあった。
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