前回は、対話の4つのモードについてお話ししました。私たちは「対話」と聞くと、「話す」ことを意識しがちですが、実は「聴く」ことがとても大事です。私たちは自分の判断基準、社会の価値基準をもとに相手の意見を判断しながら聞く「評価的な聞き方」や、情報収集のための「分析的な聞き方」をしています。対話を実践するためには、前提や評価・判断を保留し、聴き、話すことが不可欠なのです。
前回は、現在学校が直面している課題を解決する上で、社会関係資本の醸成と心理的安全性の確保が大きなカギになることを述べました。しかし、ここで最も悩ましい問題は、「社会関係資本や心理的安全性は自然に発生するものではなく、意図的に創り出す必要がある」という点です。
前回、学校が取り組む課題の多くは、自らの人間関係や物事に対する認識を変化させなくては解決できない「適応課題」であるというお話をしました。この適応課題に対して、学校がチームとして協働するためには、まず目に見えない「関係性」を意図的に築き、その質を高めることが不可欠です。マサチューセッツ工科大学(MIT)組織学習センターの共同創始者のダニエル・キムは、組織が成長し、継続して結果を出し続けるために、「関係性」の重要性を指摘しています。
「チームとしての学校」の在り方が提唱されたのは、2015年の中教審答申でした。その後、学校が対応すべき課題が増え続ける中、皆さんが働く学校はチームとして課題に取り組むことができているでしょうか。本連載(全10回)では、学校が子どもたちと先生のウェルビーイングを大切にしながらチームとして協働し、さまざまな教育課題を解決する「みんなが『話せる』学校」をどう創るか、そのための「対話型組織開発」の方法や実践事例についてご紹介します。
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