前回まで、子供の生育環境による教育格差について述べてきた。今回は少し視点を変え、子供たちを支えてきた学校が変化を迫られていることに触れてみたい。 密閉、密集、密接。いわゆる「3密」を聞いたとき、「それって学校そのものじゃないか」と感じた。多くの教育関係者も「3密を避けようといってもどうやって?」と途方に暮れただろう。
前回は、「標準」の家庭を前提とすることの課題を述べた。今回は母子家庭に焦点を当てつつ、家庭環境の急変について考えてみたい。 6月末に発表された5月の完全失業率(季節調整値)は2.9%。近年は下がり続けていたが、コロナ流行以来、上昇を続けている。
コロナ感染拡大による休校期間中は、いつにも増して「家庭の力」が問われていた。緊急事態に学校や自治体が講じられた対策には限りがあり、「学校は何もやってくれない」という不満を抱いた保護者もいただろう。学校からもらってきた課題を子供と一緒になってやったり、追加の学習教材や学習機会を与えたりしていた保護者もいたに違いない。
コロナ流行による学校休校や経済状況の悪化によって、教育格差が拡大する。それが、多くの人が抱いている率直な見立てである。 教育格差とは、生まれた場所や家庭によって子供が受けられる教育の量や質が異なり(機会の格差)、その結果として学力や学歴に違いが生じること(結果の格差)である。
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