【ポストコロナと教育格差(2)】長期休校「家庭学習」の限界

【ポストコロナと教育格差(2)】長期休校「家庭学習」の限界
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 コロナ感染拡大による休校期間中は、いつにも増して「家庭の力」が問われていた。緊急事態に学校や自治体が講じられた対策には限りがあり、「学校は何もやってくれない」という不満を抱いた保護者もいただろう。学校からもらってきた課題を子供と一緒になってやったり、追加の学習教材や学習機会を与えたりしていた保護者もいたに違いない。

 米国を中心とした研究が明らかにしてきたところでは、学力格差は長い夏休みの間に拡大する。「平等化装置」としての学校の機能が働かず、家庭ごとの教育機会や教育方針の差が、子供たちの学力格差へとダイレクトに結び付くのである。

 普段の日本の夏休みでは、1学期の既習事項に基づいた宿題が課されたり、補習教室などが行われたりもするが、今回のコロナ休校ではそこまで計画がされていなかった。加えて、普段の夏休みよりも休校期間が長い。家庭の経済力、教育方針、周囲からのサポートなどによって、子供の過ごし方にも格差が表れた。

 2020年6月、国立成育医療研究センターの「コロナ×こどもアンケート」の第1回調査結果(4月30日~5月31日)が公表された。さまざまなことが明らかにされているが、小1~3で家庭学習を「おうちの人に教えてもらう」子はおよそ75%(「自分ひとりでやっている」と答えた子はおよそ55%)という結果が目についた。残りの25%の「教えてもらっていない」子がどんな子なのか、私たちはイメージしなければならない。家庭学習の面倒を見てくれる保護者が「標準」なのではない、と。

 さらに言えば、保護者による家庭学習のサポートを受けにくい「外国につながる子供」もいる。公立学校において日本語指導が必要な児童生徒は5万人を数えるが、休校期間が長引いたことで日本語の使用から遠ざかってしまった子も多い。中には日本語を忘れてしまった子もいる。

 今後、同様の事態が起き、オンライン授業が行われるにしても、日本語が苦手な子供がきちんと理解できるかが課題であるし、日本語ができる保護者のサポートが必要となれば、さらに家庭での学習が難しくなる。

 また、児童養護施設の子供たちの苦労はいかばかりか。そもそも、「標準」の家庭にあるようなPCを含めた学習環境が整っていないことや、外出自粛で施設外に出られず大きなストレスを抱えたことが問題になっていた。いずれの例も、「標準」的な家庭だけを前提に考えていては解決しない問題である。

 コロナ休校は、「標準」でない家庭の子供の教育環境の問題に、改めて光を当てている。

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