前回は、学力格差が生まれるメカニズムを文化的再生産論という理論に基づいて検討しました。しかし、学力格差の原因を家庭の経済資本や文化資本の差のみに求めるのは問題かもしれません。複雑な社会事象を捉えるためには、いろいろな観点からそのメカニズムを明らかにしていく必要があるからです。
前回は、SES(社会経済的背景)による学力格差は学年段階が上がっても縮小することはなく、維持されたままであるということを見ていきました。それでは、なぜこのような現象が生まれるのでしょうか。
本連載の第1回で、「生まれ」(社会経済的背景:SES)や「属性」(性別やエスニシティ)によって学力に違いが見られることを「学力格差」と呼ぶことを確認しました。今回は、学力格差の実態について見ていきたいと思います。
現代の日本社会には、さまざまな格差の問題があります。例えば、所得格差や医療格差、地域格差、情報格差など、さまざまなものが挙げられるでしょう。その中に「学力格差」と呼ばれる問題があります。これは何を意味する言葉でしょうか。
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