東京未来大学こども心理学部講師
これまでの連載でお話してきたように、現代社会においてルッキズムは根深く存在し、子どもたちにまで大きな影響を与えています。私たちはメディアやSNSを通じて常に外見の重要性を強調され、無意識のうちに外見で人を判断しています。その結果、自己肯定感の低下、精神的な苦痛、社会的な不平等など、さまざまな問題を引き起こしています。
社会における女性のルッキズム、特に公の場における影響について、これまでの議論を踏まえてさらに深く掘り下げて考えてみます。
多くの人が容姿を気にする現代社会において、「あまり見た目を気にしない人」も存在します。なぜ、人によってこのような違いがあるのでしょうか。「あまり見た目を気にしない人」には、いくつかの共通する特徴が見られます。
私たちは自分の見た目に対する感情によって、日々の気分が大きく左右されます。「今日は髪型が決まっている!」と感じれば心が弾み、「なんだか顔色が悪いな」と思えば気分が沈んでしまう。このように、容姿と心は深く結び付いており、互いに影響を与え合っているのです。
私たちは日々の生活の中で、つい他人と自分を比較してしまうことがあります。友人の洗練された髪型や服装などを見るたびに、「自分は劣っているのではないか」と感じてしまうこともあるかもしれません。
偏見を減らし、他人を容姿だけで評価することなく理解するためには、共感性の育成が不可欠です。共感性とは、他者の立場や感情を理解し、共に感じる力のことです。共感性を持つことで、私たちは他者の容姿や外見にとらわれず、その人の内面的な価値を理解することができるのです。
容姿に対する考え方は家族、特に親の影響を大きく受けます。幼い頃から親がどのような言葉を掛けてきたかが、子どもの自己イメージに深く刻み込まれることが多いのです。
学校は、子どもたちが多くの時間を共有し、成長を共にする場所です。そのため、学校での出来事は子どもたちの容姿への意識に大きな影響を与えます。
SNSは、友人との交流を深め、趣味を発信する楽しいツールとして、私たちの生活に欠かせない存在となっています。一方で前回も触れたように、SNSの利用が容姿に関する悩みを増幅させる要因にもなり得ることを、私たちは認識する必要があります。
私たちが自身の容姿を意識し始めるのは、成長の過程で訪れるさまざまな瞬間です。幼い頃、私たちは鏡に映る自分の姿を純粋な好奇心で見つめます。しかし、成長するにつれて他者との差異に気付き始め、外見への意識が芽生え始めるのです。
容姿に関する悩みは、老若男女を問わず、多くの人々が抱える普遍的なものです。最近は、容姿に悩む人が低年齢化しています。調査でも小学生のうち76%が「自分の容姿が気になる」と答えました。特に女子児童では81%にも上りました。男子児童にしても71%が自分の容姿を気にしていました。
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