第5回 親子関係と容姿の悩み

第5回 親子関係と容姿の悩み
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 容姿に対する考え方は家族、特に親の影響を大きく受けます。幼い頃から親がどのような言葉を掛けてきたかが、子どもの自己イメージに深く刻み込まれることが多いのです。

 例えば、親が「あなたはかわいいね」「笑顔がすてきだね」などと肯定的な言葉を掛けてくれると、子どもは自分の容姿に対して前向きな気持ちを持つことができます。反対に、「太ったね」「もっと〇〇したら?」などと否定的な言葉を掛けられると、「自分の見た目は駄目なんだ」と思い込んでしまうことがあります。

 また、親自身が容姿に対してどのような考えを持っているかも、子どもに影響を与えます。例えば、親が「もっと痩せなきゃ」「私は外見が良くないから」と自分の容姿を否定する言葉を頻繁に口にしていると、子どもも「自分の見た目を気にしなければいけない」と思うようになるのです。

 さらに、父親と母親の影響の違いについても研究があります。例えば、母親が子どもに対して冷たい態度で接する中で容姿へ否定的な言葉を繰り返すと、子どもは自身の外見に強い不満を抱きやすくなることが研究によって示されています。一方で、父親が容姿について肯定的な言葉を掛けていると、子どもは自分の容姿に対して満足感を持ちやすくなる傾向があります。

 親の影響は、子どもの自己イメージ形成において非常に大きな役割を果たします。しかし、親の言葉が全てではありません。「親の言葉が全てではない」と考えることも大切です。

 親からの言葉は、子どもの心に深く根付き、自己イメージを形成する上で大きな影響力を持つことは間違いありません。しかし、子どもが成長するにつれて、さまざまな経験を通して多様な価値観に触れ、自分自身の考えを確立していくこともまた事実です。

 親が心掛けるべきこととして、子どもの容姿について話す際には、否定的な言葉を使わないことが大切です。否定的な発言は、子どもの心に深い傷を残す可能性があるため、できるだけ避け、肯定的な声掛けを意識しましょう。必ずしも容姿そのものを褒める必要はなく、「笑顔がすてきだね」など、表情や雰囲気などの魅力に目を向けるのも良い方法です。

 とはいえ、時には無意識のうちにルッキズム的な発言をしてしまうこともあるかもしれません。先ほどの研究によると、否定的な言葉を掛けてしまったとしても、日頃から温かい関わりを続けていれば、子どもは自分の容姿に対して過度な不満を抱きにくいことが分かっています。そのため、言葉掛けを意識することも大切ですが、それ以上に普段から子どもに寄り添い、温かく関わることが重要なのです。

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