新型コロナウイルスのワクチン接種が全国の自治体で進められる中、非正規も含めた教職員らでつくる「大学等教職員組合」(衣川清子委員長)が中心となって6月2日、参議院議員会館で院内集会を開き、子供やお年寄りと接触する機会が多い教職員や保育士、介護職にワクチンを優先接種することなどを政府に求める声明をまとめた。集会への参加者は「子供たちの未来を守るためにも優先接種は必要だ」などと訴え、ウェブ上の署名サイトを通じて署名を集めて政府に提出することにしている。
熊本市教委は6月4日、市立学校に通う児童生徒の保護者2万631人を対象にした「体罰・暴言等に関するアンケート」の結果を公表した。昨年度の学校生活で、自分の子供が体罰や暴言の被害に遭ったと答えた保護者は382人と全体の2割を占め、うち7割以上が学校や教委に届け出なかったと回答。理由は「相談しても無駄だと思った」が最も多かった。
コロナ禍の影響が続くとみられる来春の大学入試について、文科省は6月4日、2022年度の大学入学者選抜実施要項を公表し、大学入学共通テストの本試験を来年1月15、16日に実施することを明らかにした。追試験は2週間後の同29、30日に行う。今春、特例的に行った「第2日程」は設定しない。追試験の会場数や設置場所については、出願期間となる今年秋までに決める。
わいせつ行為を行った教員への免許の再交付を授与権者が拒否できる「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」が成立したことを受けて、萩生田光一文科相は6月4日の閣議後会見で、再交付の審査が都道府県単位で行われることに関して、「全国の都道府県教育委員会連合会などと相談し、都道府県に設置される審査会が同じ基準でスクリーニングができる仕組みをしっかり作りたい」と述べ、各地で審査の判断にばらつきが生じないように統一した基準作りを進める考えを示した。
横浜創英中学・高校の工藤勇一校長が6月3日、「いじめとどう向き合うか~いじめ問題を構造的に考える~」がテーマのオンラインイベントに登壇した。学校で生徒同士のトラブルが起こったとき、生徒本人が当事者として問題と向き合うための具体的な手立てや大人の役割について、所属校の取り組みを交えながら紹介した。イベントの後半では、NPO法人ストップいじめ!ナビ理事の真下麻里子弁護士も登壇。
内閣府は6月4日、「少子化社会対策大綱の推進に関する検討会」(座長:佐藤博樹・中央大学大学院教授)の初会合を開き、国の少子化対策の指針となる「少子化社会対策大綱」の現状や課題について議論した。現行の大綱について、こうした検証の機会を設けるのは初めて。2020年はコロナ禍の影響などで出生数が過去最少となり、出席した坂本哲志少子化担当相は「危機的な状況」と述べ、検討会に対し、今後の少子化対策の重点項目を整理するよう求めた。
厚労省が6月4日に公表した人口動態調査によると、2020年の1年間の出生数は約84万人で、過去最少となった。婚姻件数も戦後最少となり、コロナ禍が日本の少子化に一層拍車を掛ける構図となった。
新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言が出ている沖縄県は6月3日、対策本部会議を開き、子供への感染拡大がみられることから、同7~20日の間の県立高校、県立中学校、県立特別支援学校の休校を決めた。4日に県教委は県立学校のほか、公立小中学校を所管する市町村教委にもこの方針を通知し、同様の対応を要請した。今回の緊急事態宣言で、都道府県単位で一斉に休校を決めた初めてのケースとなる。
政府の教育再生実行会議は6月3日、ポストコロナ期における新たな学びの在り方を描いた第12次提言をとりまとめ、菅義偉首相に手渡した。提言は、ニューノーマル(新たな日常)における教育の姿について、一人一人の多様な幸せと社会全体の幸せ(ウェルビーイング)の実現を目指し、学習者主体の教育に変えていくとの方向性を明確にするとともに、デジタル化に伴って「データ駆動型の教育への転換」を進めるよう強く打ち出した。
ポストコロナ期における新たな学びの在り方を検討してきた、政府の教育再生実行会議が6月3日にまとめた第12次提言では、ニューノーマルにおける教育の姿として、一人一人の多様な幸せと社会全体の幸せ(ウェルビーイング)の実現を目指し、学習者主体の教育に転換していく構想を描いた。また、データに基づく現状把握や政策の効果検証がこれまで十分ではなかった面があるとして、「データ駆動型の教育への転換」を掲げた。第12次提言のポイントを整理する。
デジタル教科書の在り方などを検討してきた自民党教育再生調査会の教科書問題プロジェクトチーム(PT)は6月3日、提言を取りまとめ、義務教育段階では紙の教科書とデジタル教科書の両方を無償で提供するべきだとした。また、今年度から開始しているデジタル教科書の普及促進事業について、来年度以降も継続するよう、必要な予算を確保することを求めた。PTは取りまとめた提言を近く、萩生田光一文科相に手渡すとしている。
「こども庁」の創設に向けて自民党が党総裁直属の組織として立ち上げた「『こども・若者』輝く未来創造本部」(本部長・二階俊博幹事長)は6月3日、子供を中心とした政策の実現に向けた「こども庁(仮称)」の創設など4つの提言を盛り込んだ緊急決議をまとめた。子供を取り巻く状況が厳しい中、総合的な調整機能を持つ組織として「こども庁」の創設が必要などとする内容で、6月中に閣議決定される予定の「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太の方針)に反映させて実現を目指したいとしている。
東京都教委は6月2日、新たな教育委員として、新井紀子国立情報学研究所教授兼社会共有知研究センター長を任命することに、都議会が同意したと発表した。新井教授は2019年にビジネス書大賞を受賞した『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社)の著者として知られ、子供たちの読解力を測定する「リーディングスキルテスト」の開発などに取り組んでいる。
消費者庁は6月2日、6歳以下の子供が歯磨き中に歯ブラシをくわえたまま転倒し、喉を突くなどの事故が、2016~20年度の5年間で120件報告されていると発表し、保護者に向けて注意喚起した。こうした事故は特に1~3歳で多いとし、座らせて歯磨きをさせることや、喉突き防止対策がしてある子供用歯ブラシを使用することを呼び掛けている。
新型コロナウイルスの感染が広がる中、外国人学校に通う子供たちの安心安全の確保に向けて、外国人学校の保健衛生の在り方を検討する文科省の有識者会議(座長・佐藤郡衛明治大学国際日本学部特任教授)が発足し、初会合が6月2日、開かれた。外国人学校には複数の自治体から子供が通うケースが多いことから、広域的に対応すべきなどとの意見が出され、今後、文科省による実態調査を踏まえて、保健衛生環境の改善に向けた支援策を検討し、12月までに具体的な提言を取りまとめることになった。
いろいろな子供や大人が集まれる地域の居場所をつくりたい――。そんな思いを持った「駄菓子屋」がこの夏、東京都足立区にオープンする。開店に向けた企画や準備は全て大学生チームが中心になり、運営も大学生やボランティアで行う予定だ。だが、なぜ大学生が駄菓子屋をやることになったのだろうか。企画を立ち上げたNPOや大学生に聞いてみた。
文科省の「大学入試のあり方に関する検討会議」はこのほど、第26回会合を開き、主な論点となっている記述式問題や英語4技能の評価の在り方などを巡って、改めて各委員が意見を述べ合った。これまでの会議で、大学入学共通テストへの記述式問題や英語4技能の導入は困難との見方が強まっている中、複数の委員から「記述式導入など入試改革に意欲的に取り組む大学に、インセンティブを付与してはどうか」との意見が出され、最終的な取りまとめに反映される見通しとなった。
政府は5月31日、「持続可能な開発のための教育に関する関係省庁連絡会議」を開き、持続可能な開発のための教育(ESD)に関する第2期国内実施計画を策定した。2020年から国連の持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向けた、新たなESDの国際的な枠組みである「ESD for 2030」がスタートしたのに合わせ、国内でもESDの効果的な実践を一層推進する。合わせて、16年に作成した「ESD推進の手引」も改訂し、国際的な動向やESDが明記された学習指導要領の内容を反映させた。
日本教育学会は8月25~27日に、80回目となる大会をオンラインで開催する。2日目と3日目にはそれぞれ学会員以外も参加できる公開シンポジウムが予定され、6月1日からは参加申し込みが始まった。8月26日午後3時からのシンポジウムⅠでは「コロナが投影する学校教育の『本質』」を、翌27日午後1時半からの公開シンポジウムⅡでは「STEAM教育論再考:その現在とこれから」がテーマ。
地方行政のデジタル化の一環で文科省は、自治体による学齢簿編制・管理業務を行う「就学事務システム」の共同化やクラウド活用を目指した標準仕様書案を作成し、パブリックコメントを6月9日まで募集している。システムの標準化によって、クラウド上でシステムのアプリを提供すれば、自治体はカスタマイズをする必要がなく、システムの構築や維持に必要なコストを削減でき、職員の働き方改革にもつながると期待される。
政府の規制改革推進会議(議長:小林喜光・三菱ケミカルホールディングス取締役会長)は6月1日、規制改革の推進に関する答申をまとめ、菅義偉首相に提出した。教育関係では、デジタル時代を踏まえた大学・高校の設置基準の見直しをはじめ、必要単位を取得すれば4年未満でも卒業できるようにする大学の卒業要件の見直し、多様な外部人材を教師として登用する「特別免許状」の利用促進に向けた手続きの見直しなどが盛り込まれた。政府は答申を受けて今後、規制改革実施計画を策定し、実現に取り組んでいく。
GIGAスクール端末をうまく運用している自治体の1つとして注目されている、奈良市教委の教育部学校教育課情報教育係の谷正友係長がこのほど、オンラインイベント(大塚商会主催)に登壇し、学校での端末利活用の具体的な手法を紹介した。国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの豊福晋平准教授も登壇し、近年関心を集めるデジタル・シティズンシップ教育について触れた。
中教審生涯学習分科会は5月31日、第11期としては初めてとなる会合をオンラインで開き、今期における審議事項について意見交換した。第10期までの議論を踏まえ、事務局からは成人のICTのリテラシー・スキル向上に関する取り組みが示されたほか、委員の今村久美カタリバ代表理事から、不登校の子供たちの支援についても議題とすることが提案された。
全国の大学生が小さな高校の生徒とつながり、地域づくりやキャリアについて対話する「総合的な探究の時間」の授業がこのほど、愛媛県立内子高校小田分校(藤本昭二校長、生徒59人)で行われた。授業をデザインした内子町地域おこし協力隊で、同校教育魅力化コーディネーターの小田原希実(のぞみ)さんは「これからも大学生が生徒と関われる機会をつくっていきたい」と意気込む。
令和の学校における学びの空間を議論するため、文科省の調査研究協力者会議の下に設けられた「新しい時代の学校施設検討部会」はこのほど、第3回会合をオンラインで開き、多様な学習活動やカーボンニュートラルへの対応について、事例発表を基にこれからの学校施設に求められる条件を検討した。検討部会委員の赤松佳珠子法政大学教授は、高校では、地域人材が探究型学習に入るような活動を想定した空間の必要性を提案した。
緊急事態宣言下にある沖縄県でも、特に新型コロナウイルスの感染拡大が深刻な石垣市は5月31日、非常事態宣言を独自に出し、6月2日から12日間、市立小中学校を臨時休校とすることを決めた。同市からの要請を受けて、沖縄県教委も6月1日、石垣市内にある県立学校を臨時休校とし、歩調を合わせた。
離島や山間部などのへき地にある小規模校で、学校の垣根を超えた遠隔合同授業など、ICTを活用した新たな教育への挑戦が日々行われている。もとは小規模校の「関係の固定性」など、デメリットを解消するための手段だったが、他校の教員の授業を見ることでICTの活用方法を身に付ける「研修」状態が日常化し、教員のスキルアップが起きるなど、どこの学校にとっても参考になりそうな先進事例が生まれてきた。
学校が本格的に再開した昨年6月から今年4月末までに、児童生徒の感染者は1万9962人、教職員は2637人となったことが5月28日、文科省の集計で分かった。3月下旬から再び増加傾向となっており、4月中旬には児童生徒・幼稚園児だけで1000人近くに上る週もあった。文科省の担当官は「基本的な対策は継続しながら、リスクを伴う活動は控えるということを徹底してほしい」と呼び掛けている。