前回まで総論的なお話をしましたが、今回からは過去に学校現場で起こった重傷事故の予防についてお話をしていきます。比較的多く発生し、重傷度が高いのが転落事故です。
日本スポーツ振興センターが収集しているのは、事故などに対して支払われる災害共済給付金のためのデータであり、予防に結び付けるためのデータではありません。これまでは膨大なテキストデータであったため、とても人の手で分析できるものではありませんでしたが、テキストマイニングと呼ばれる人工知能を使って処理することで繰り返し起きているものを自動で分類し、分類された状況ごとに予防策を考えられるようになりました。
事故の問題について考える場合、①事故が起こる前、②事故による傷害が起こったとき、③傷害が起こった後、④グリーフ・ケアの四つの相に分けて考える必要があります。起こる前は「予防」、起こったときは「救命・救急処置」、起こった後は「治療、リハビリテーション」、そして最後は「遺族や関係者への支援」となります。
学校では「事故は起こってはならない。予防が大切」と指摘されていますが、全ての事故を予防することはできませんし、その必要もありません。予防が必要なのは、重傷度が高い事故、言い換えれば医療機関を受診しなければならない事故です。本連載では「子どものケガを減らす」にはどうしたらよいかについてお話しします。予防に取り組むには、まずは実態を知る必要があります。
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