「実は私、中学生の時にいじめられて、学校に行けなくなったことがあったんです。ミカも幼稚園の時によく泣かされていて、だからもし不登校になったらどうしようかと心配で…。私なんかが母親だから」
「それじゃあまず、連絡帳を見せてもらっていい?」 ミナミ先生にそう言われ、キタノ先生は連絡帳を見せました。連絡帳には、ニシダさんの母親の字でヒガシさんについてのエピソードがびっしりと書き込まれており、毎回キタノ先生の意見や感想を求める文で締めくくられています。それに対し、キタノ先生は一つ一つ丁寧に自分なりの見解やコメントを返しています。
「ニシダさんのお母さん、最初はとても協力的だったんです。でも、2学期になって席替えをしてから、それが気に入らなかったらしくて」 キタノ先生の話によると、ニシダさんの母親は新任教員のキタノ先生に対し、着任当初は「頑張ってくださいね」と誰よりも積極的に応援してくれていたのだそうです。
「はぁ~どうしよう」 その日、キタノ先生は何度目かのため息をつきました。キタノ先生はこの春A小学校に赴任してきたばかりの新任教員で、2年1組の担任です。少々不器用でまだまだ頼りないところはありますが、いつも一生懸命な彼は子どもたちにも慕われていました。
広告ブロック機能を検知しました。
このサイトを利用するには、広告ブロック機能(ブラウザの機能拡張等)を無効にしてページを再読み込みしてください